長崎市伊王島に7月18日、エンターテインメントリゾート「i+Land nagasaki(アイランド・ナガサキ)」がグランドオープンした。
同施設は、カトープレジャーグループ(東京都渋谷区)が「長崎温泉やすらぎ伊王島」として運営していた施設に「ポートエリア」として120室の宿泊施設を加え、リニューアルしたもの。当日は田上富久長崎市長やリゾート開発に携わった関係者がテープカットを行い、14時から一般開放した。
長崎温泉やすらぎ伊王島は、長崎県や旧伊王島町が出資した第三セクターが1989年に開業したリゾート施設「ルネサンス長崎・伊王島」が前身。バブル崩壊のあおりを受けて経営不振に陥り、2003年に旧伊王島町が施設を買い取るかたちで「長崎温泉やすらぎ伊王島」として同社に運営を委託していた。2005年の市町村合併で同町が長崎市に編入され、同市所有となっていた。
当初、黒字転換は難しいといわれていたが、加藤友康社長兼CEOは「美しい自然ときれいな海、そして当時の伊王島町長の思いに引かれ、再建に向けて知恵を出し合った」と当時を振り返る。
再建着手当初は、従業員ではない近くの島民が庭の手入れや掃除などを行っていたことに驚いたという。「こちらからお願いをしたわけでもないのに、自ら力を貸してくれる地元の方のためにもどうにか再建を成功させ、地方創生に貢献したいと誓った」と話す。
それまでは首都圏の客をターゲットとする夏特化型の高級リゾートだったが、近隣県の客向けに一年中楽しめるように温泉を整備し、フグや伊勢エビなど食材にこだわった料理を提供することで年間15万人が訪れる施設へと変貌を遂げた。
伊王島は長崎市の郊外に位置し、長崎港から船で約19分の距離にある離島。2011年に長崎市香焼町と結ぶ全長876メートルの伊王島大橋が開通し、長崎市内から車で約30分で行けるようになった。「伊王島は自然が豊かで居心地がいい。旬の食材にも恵まれ、お客さまをおもてなしするホスピタリティーも併せ持つリゾートの好適地」
黒字転換し高いリピート率を誇る同施設の土地・建物を4月1日、同社のグループ企業であるKPG HOTEL&RESORT(伊王島町)が取得し、島の西側のエリアに日本初上陸となる体験型マルチメディア・ナイトウォークアトラクション「ISLAND LUMINA」もオープンしている。
ポートエリアには海を眺めながら過ごせるツインとファミリータイプのテラスロッジのほか、ドッグランを併設し愛犬と楽しむことができるバークロッジ、家具などの全てがキッズ向けのサイズで作られたキッズロッジなど滞在者のニーズに合わせた宿泊施設を用意しているほか、土産店やベーカリー、ロッジ宿泊者向けにバーベキューを楽しめるレストランを併設している。
初日の宿泊施設の稼働率は7割近くといい、田中正男KPG HOTEL&RESORT社長兼COOは「平日にもかかわらず多くのお客さまからの予約を頂くことができたことは、私どもの施設に対する期待の表れだと受け止めたい。長崎市内から1時間足らずと、気軽に行けるリゾートとして多くの人に楽しんでもらえるようにしていきたい」と意気込む。