「ブラックモンブラン」で知られる竹下製菓(佐賀県小城市)の社長・竹下真由さんが5月23日、IG会計グループ(長崎市元船町)で「ブラックモンブラン50周年 未来へつなぐ、次世代を創る」をテーマに講演を行った。
竹下製菓は明治時代、現在の佐賀県鹿島市で竹下左七さんが製菓店として創業。1960(昭和35)年ごろから氷菓の製造も手掛けるようになった。九州を中心に販売されている「ブラックモンブラン」は、3代目の竹下小太郎社長がフランスのリゾート地シャモニーを訪れた際、アルプス山脈最高峰のモンブランを眺めて「この真っ白い山にチョコレートをかけて食べたら、さぞおいしいだろう」と感じたことが商品化のきっかけ。氷菓といえばアイスキャンディーが主流だった当時、「斬新で高級な凝ったアイス」としてたちまち人気商品になったという。
第1部で同社の歩みを紹介した竹下さん。大学卒業後、東京の企業に4年間務めUターン。竹下製菓入社後は商品開発部に入社。毎年発表する新商品はどれもおいしいのに思ったように売れないという葛藤に悩みながらも開発に携わったエピソードや、現在は自身が撮影した写真を使っているブラックモンブランのパッケージに使われるモンブラン山の写真の裏話にも触れた。
第2部では同社の事業継承や取り組みについて講演。自身が経験した事業継承については、パートナーの存在や母の意見もあり、3人目の出産を終えた時期に社長に就任したことで、先代が健全で並走期間があったことが良かった反面、「できれば他社での修業期間がもう少し欲しかった」と振り返る。
女性社員が多いという同社では働き方や育児支援への取り組みに力を入れていると言う。「人間関係」「給与」「仕事内容」という要素に加え、育児や介護など社員一人一人の事情があることから、しっかりとコミュニケーションを取ることや情報を共有することで、担当者がいないと案件が進まない事態になることをあらかじめ防ぐ取り組みを紹介した。
120年以上続く企業の5代目という立場になった竹下さん。「いつまでもブラックモンブランが売れ続けているわけではない。面白い商品を開発しながら次世代にバトンをつないでいけるように頑張りたい」と意気込む。