長崎市の南端に位置する野母崎にある温泉宿泊施設「alega軍艦島」が民間売却されることが決まり、現在、公募を行っている。
施設は脇岬町にあった国民宿舎の老朽化に伴い旧野母崎町が2001(平成13)年、天然温泉や近海で取れた新鮮な魚介類を使った料理が楽しめるレストランだけでなく、全19室の客室全てがオーシャンビューで約5キロの沖合に浮かぶ軍艦島を一望できることを売りに「野母崎海の健康村」として開設。2005(平成17)年に長崎市に編入後は市が所有し、外郭団体「市野母崎振興公社」が指定管理者として運営していた。
2015(平成27)年のリニューアルに合わせ、施設から一望できる軍艦島が当時世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産として登録される機運が高まっていることを受け、ポルトガル語で「喜び」を意味する「Alegria」や軍艦島が目前に見える「あれが―」などの語呂から「alega軍艦島」に改称していた。
リニューアル後は客足が回復し黒字転換したものの、2017(平成29)年には近隣の亜熱帯植物園「サザンパーク野母崎」が閉園するなどの影響を受け宿泊客が伸び悩み再び赤字に転落。運営する公社がごみ収集など住民生活に必要なインフラ提供に支障をきたす可能性があると判断したことから昨年末で撤退。市は宿泊施設などの運営ノウハウを持つ民間事業者による再生を目指して売却を決めた。
市観光政策課の担当者は「交流人口の拡大に寄与するだけでなく地域雇用の受け皿や地場産品の販売場所としての役割を担ってきた場所。ノウハウを持つ民間の力で施設を活用できれば」と話す。公募は4月24日で締め切り、資格審査や外部委員のヒアリングによる選考などを経て、7月1日の引き渡しを目指すとしている。