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長崎・女神大橋でインフラツアー 港と街を一望、参加モニター思わず「もってこーい」 

女神大橋の頭頂部で「もってこーい」の掛け声をする参加者ら

女神大橋の頭頂部で「もってこーい」の掛け声をする参加者ら

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 長崎港口にある女神大橋で10月8日、通常は立ち入り禁止の主塔に上るインフラツアーが行われた。主催は長崎の風。

点検口のハッチから主塔内部に入る参加者

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 女神大橋は、長崎市戸町と木鉢を結ぶ全長1289 メートル(斜張橋部880 メートル、取付高架橋部409 メートル)の橋。慢性化した長崎市内の交通渋滞の緩和と港湾施設の連携強化や物流の効率化を図ろうと、1994(平成6)年に着工。2005(平成17)年12月11日に供用が始まった。大型客船が入出港する長崎港口に位置することから、海面から桁下までの高さは約65メートルと日本一を誇る。斜めに張ったケーブルで塔とつないで桁を支える構造の斜張橋としては、最大支間長が480メートルと日本で6番目の長さを持つ。

 ツアーを主催した長崎の風は「長崎」の魅力を広く伝え、観光によるまちづくりとまちの活性化に取り組むNPO法人。街歩きツアーなどの企画を手掛けている。今回のツアーは、橋の建設に携わった技術者らの要望を受けて企画。橋を管理する県と同団体が長崎市の運営する街歩き企画「長崎さるく」の一環として参加者を募集し、これまで40回のツアーに約500人が参加した。ツアーは試験的に開催してきたが、安全面での問題点を踏まえて県が柵の設置などを進めてきた経緯がある。

 当日は、参加者9人が10時に女神大橋の戸町側にある女神大橋駐車場に集合。安全のため貸し出したヘルメットを装着し、周辺地域の歴史や橋の構造などの説明を受けながら橋の北東側にある主塔を目指した。主塔の入り口に到着すると海抜70メートルにある点検口から主塔内部に入り、らせん状に続く点検用の階段を上り、海抜120メートルにある水平梁(ばり)を目指した。

 主塔内には窓がなく、場所によっては大人一人がやっと通れるほどの狭い構造。スタッフがサポートしながら、20分ほどかけて水平梁の上に到達した。途中、高層建築物に設置が義務付けられている航空障害灯の点検口を設置することで保守管理をしやすくする工夫や主塔の断面が五角形となっていることなどへの説明を聞いた参加者からは驚きの声が上がった。点検用のハッチから外に出て水平梁の上に出た参加者は、外の空気を堪能しながら記念写真を撮るなど思い思いの時間を過ごしていた。

 水平梁から戻り、再び主塔をビル10階分ほど上った海抜175メートルの主塔頂上で参加者らは、さらに視点を変えて景色を満喫。当日が、コロナ禍での中止がなければ開催されていた「長崎くんち」の中日に当たることから参加者全員が、アンコールを意味する「もってこーい」の掛け声で盛り上がる一幕もあった。

 参加した女性は「上る前は高くてもっと怖く感じると思っていたが、実際に上ってみると怖さは感じなかった。落下防止柵などの安全対策も万全で安心して楽しむことができた」と笑顔を見せた。

 同団体によると、今年度はモニターツアーとして参加者を募り改善点の洗い出しなどを行う。本格的な募集の開始は来春を目指す。同団体代表の黒田雄彦さんは「景観だけでなく、優れた土木技術や橋りょう技術を体感してほしいという技術者の思いから始まった企画。インフラツアーという新たな魅力を長崎の観光資源にしていきたい」と意気込む。

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