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為石町・異業種コラボの介護事業所に入浴設備 「ずっと地域で暮らす」テーマに

入浴施設をアピールする野中さん

入浴施設をアピールする野中さん

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 通所型介護事業所「デイサロン結(むすび)」(長崎市為石町)に9月、入浴設備が完成した。

新たに完成した入浴施設

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 総菜などを扱う「いなかDERI紬(つむぎ)」を併設する異業種コラボ店として複合施設「さんとぴあ21」に昨年5月にオープンした同施設。運営するToy Box代表の野中由布子さんは店舗のある旧三和町為石地区の出身で、介護福祉士として施設での勤務や介護福祉士を育成する講師を経験。「少子化や核家族化が進む中、地域の中でつながりを持ち、生涯を生活してきた場所で過ごせるようにするための包括的な取り組みをしたい」と、一念発起して事業所を立ち上げた。

 施設の周辺地域では昼間人口が極端に少なく、車がないと買い物ができないいわゆる「買い物難民」が多く存在する。介護事業所ではこれまで一般的に介護をあまり必要としない要支援・要介護レベルの低い年代の高齢者に向けて予防介護を目指したデイサービスを行っていた。「いなかDERI紬」では総菜や弁当のほか駄菓子や子ども服、雑貨などを販売することで高齢者の食事の支援だけでなく子どもから子育て世代まで幅広い年齢層の利用を見込む。

 野中さんは「コロナ禍でイートインスペースを閉鎖した状態でオープンを迎えたこともあり、初めは1日に20個程度しか弁当が売れなかった日もあるという。コロナ禍で先が見通せない中でも事業の形を発信し、地域のニーズを取り入れるなど試行錯誤を繰り返しながら1年半で定番のお弁当ができるなど店の形を作り上げてきた」と笑顔を見せる。

 「ずっと住み慣れた地域で暮らす」が事業のテーマという野中さん。「自宅での生活は問題がなくても入浴に不安がある」といった声を基に地域の中で高齢者の生活を支える仕組みとして必要と感じたことから入浴施設の設置を決めた。

 入浴設備は野中さんが「介護施設らしさのある空間にはしたくなかった」ことから、木目の内装に間接照明を組み合わせることで温かみのある空間を目指した。現在は週2日入浴サービスを行う日を設定し、見学や体験も受け付ける。

 「介護が病気を治すわけではない。地域の取り組みの中で高齢者の孤立や介護人員不足を軽減し、高齢者が社会参加できる場を作りたい」と野中さん。「今後は施設内で子ども食堂を開催するなど、より間口を広くして幅広い世代の地域の人々が目的を持って集う『全世代交流型のコミュニティーエリア』を目指したい」と意気込む。

 営業時間は9時30分~17時(総菜が売り切れ次第終了)。日曜・水曜・祝日定休。

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