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グラバー図譜のカレンダー発売 「長崎のきれか魚を食べてみんね」テーマに

カレンダーを手に購入を呼びかける山口敦子教授

カレンダーを手に購入を呼びかける山口敦子教授

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 長崎にゆかりのある魚類図鑑「日本西部及び南部魚類図譜(通称=グラバー図譜)」の魚図を用いた卓上カレンダーが11月21日、発売された。

「長崎のきれか魚」をテーマに選んだ12種類の魚種

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 グラバー図譜はスコットランド人貿易商トーマス・グラバーの次男で水産学者の倉場富三郎(トーマス・アルバート・グラバー)が編さん。倉場富三郎は1889年から米ペンシルベニア大学医学部生物科で生物画を学んだ。帰国後は第二次大戦前まで長崎の実業界・社交界の中心人物として活躍。1908(明治41)年に日本初となる蒸気トロール船「深江丸」を英国から輸入するなど長崎の漁業の発展にも大きく貢献したといわれる。明治末から昭和初期にかけて行われた同図譜の編さんには倉場富三郎が雇った5人の地元画家が長崎で水揚げされた魚を形態や色彩、うろこの数に至るまで正確に描写。多くの魚方言(地方名)も記されている。全32集806図に及ぶ図譜は倉場富三郎の死後、日本銀行総裁などを務め、漁業史などにも精通する渋沢敬三の手に渡っていた。長崎大学水産学部の設立がきっかけとなり1950(昭和25)年に同大に寄贈された経緯がある。

 カレンダーは同大水産学部の山口敦子教授が、同大に所蔵されているグラバー図譜を一般に手にしてもらうことで広く知ってもらうと同時に「海の環境を維持し、これらの魚が100年後も食卓を彩っていてほしい」と2年前に手作りで製作。大きな反響があったことから昨年は「長崎のうんまい魚めぐり」をテーマに長崎の食文化に根付いた魚種にスポットを当てた。

 今年は「長崎のきれか魚を食べてみんね」をテーマに製作したという同カレンダー。A5サイズの卓上サイズで、グラバー図譜の魚図とともに山口教授らが撮った標本写真と魚の特徴などを長崎の食文化と絡めた解説を添えている。使用後はハガキとして利用できる。今年は初となるA3の壁掛けサイズも少数ながら用意する。

 価格は、卓上サイズ=1,200円、A3サイズ=2,500円。A3サイズは12月初旬に一部販売店でのみ発売予定。同大生協のほか石丸文行堂(浜町)や長崎歴史文化博物館(上町)、史跡出島(出島町)などでも扱う。

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