長崎大学のバス愛好団体「たびぶたい・のりもの塾」と長崎バス商事(長崎市新地町)が共同でバスの停留所をモチーフにしたキーホルダーを商品化した。
同大経済学部2年の菊池将成さんが立ち上げた同塾。北九州出身の菊池さんは物心ついたころからバス好きで、小学生の時に市内のバス路線を全て制覇するほど。2021年春、進学を機に長崎に来たという菊池さんは、車両の前後にドアが設置された全国的に珍しいレトロなデザインのバスが街なかを走り、当たり前のように狭路での離合が行われる高い運転技術を目の当たりにした。バスで行った先の景色の素晴らしさにも魅了され、「長崎の人にとってバスが移動手段として定着していることに驚くと同時に、バスマニアとして観光資源としても生かせるのでは」と考えたという。
長崎のバスの魅力を全国に発信すると同時に、バスから見る長崎の魅力からまちおこしを目指そうと2021年11月に同大の「ビジネス実践力育成プログラム」を活用して団体を設立。2022年4月には長崎市が募集するまちづくり団体「長崎伝習所」の同年度の塾活動にも認定。同年10月には「長崎学生ビジネスプランコンテスト」で優勝に輝いている。
コロナ禍で当初企画した学生向けのバスツアーは実現できなかったものの、バスにちなんだイベント企画や商品開発を行う同塾。2022年8月に島瀬美術館(佐世保市)でバスのペーパークラフト作品を展示する個展を開催。オーダーメードでバス停のキーホルダーを制作するなどの活動を行っている。
長崎バスと初のコラボ企画となる今回のキーホルダーの発売は、昨年10月に同社の本社がある新地町の停留所が「新地中華街」に名称変更したことを記念したもの。同停留所は1994(平成6)年7月1日から2022年9月30日まで「長崎新地ターミナル」の停留所名で運用していた。キーホルダーは使っていた実物のバス停のデータを元にデザインやフォントなど忠実に再現。2.5センチメートル四方サイズに仕上げている。
特典として製造番号入りの9種の「長崎新地ターミナル」行きの行き先をまとめた限定カードと1903号車のミニチュア方向幕が付属する。同車両は2013年11月19日から飯香の浦発矢上行きとして長崎バスが東長崎方面に進出した1号車として運用を始めたものの、わずか3年ほどで除籍となっている。ミニチュアでは実際に車両に搭載されていた方向幕をスキャンして30分の一サイズにスケーリングし発色や実物の煤まで忠実に再現。方向幕には運行が実現しなかった「幻の路線」の行き先も残っている。
菊池さんによると、人口当たりのバス台数は長崎が全国1位で4人当たり3台(福岡2台、東京1台)。「長崎はバスを使わないと暮らしていけない街。小さいころから身近にバスがあり、親しみを持つ人が多い」と話す菊池さん。「バスは地域性の高い乗り物。長崎のバスを見て他の街にはない魅力がたくさんあることに気づいた。バス王国・長崎の魅力を、さまざまなかたちで伝えることで長崎をバスの聖地にしたい」と意気込む。
価格は1,100円で、限定50個。現在、抽選販売を行っている。応募ははがきのみで受け付ける。2月28日消印有効。当選者は長崎バスターミナル売店または郵送(代金引換)で受け取る。