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史跡・出島で川原慶賀のびょうぶを限定公開 江戸後期の長崎港描く

限定公開された川原慶賀のびょうぶ

限定公開された川原慶賀のびょうぶ

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 川原慶賀の唯一現存するびょうぶ「長崎湾の出島の風景」の複製の公開が4月29日、国指定史跡「出島和蘭商館跡」(長崎市出島町)の十六番蔵で始まった。

製作の様子が紹介されたパネル

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 江戸時代末期の絵師・川原慶賀は、当時の長崎で絵師の第一人者として活躍していた石崎融思に師事し、頭角を現したことで出島オランダ商館への出入りを許される「出島出入絵師」となった。1823年に商館医として来日したシーボルトに画才を見いだされ、お抱え絵師として活躍。1825年に来日したデ・フィレニューフェから西洋画法の手ほどきを受けた川原慶賀の作品は日本画に遠近法など西洋画の技法が組み合わされている。長崎をはじめ日本各地の風俗画、風景画、肖像画などを数多く残しており、シーボルトが刊行した「日本」の挿絵の原画としても使われている。精細な動植物図はシーボルトらの著作である「日本動物誌」などの図として利用された。

 展示するびょうぶは川原慶賀の唯一現存するびょうぶの複製。実物は2017(平成29)年にオランダの個人宅で発見。2018(平成30)年から約2年かけて修復され、現在はオランダのライデン国立民族学博物館に収蔵されている。びょうぶの大きさは幅4.7メートル、高さ1.7メートル。長崎市出島復元整備室の学芸員・山口美由紀さんによると、海や空の描写は退色しているが裏地に残った絵の具から描かれた当初は青がもっと濃かったのではないかと考えられているという。

 びょうぶはオランダ商館の建つ出島を画面中央に据えて長崎湾を一望できる。描かれている出島のカピタン部屋の三角階段が老朽化してなくなっている様子や中央付近に描かれているオランダ船の旗に描かれている番号から1836年に長崎に入港したマライ・エン・ヒレホンダ号と判明したことから、この当時の長崎港が描かれているとされている。

 複製は今年、シーボルト来日200周年に当たることから長崎市が記念事業として昨年7月から取り組んできたもの。同館の協力を得て修復時に撮影した高精細な画像を元に色調校正に多くの時間をかけ原寸大にプリント。最後は岩絵の具を筆で塗ることで忠実に再現している。復元に使われたものと同じ唐紙や大縁、小縁を使って仕立て、今年3月に完成していた。

 山口さんは「日本とオランダの歴史的な関係や当時の長崎港の様子を知ることができる貴重な資料。この機会にぜひ見に来てもらえれば」と来場を呼びかける。

 入場料(大人=520円、高校生=200円、小・中学生=100円)が必要。5月7日まで。

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