活水女子大学(長崎市東山手町)で5月26日、「長崎さくらねこの会」代表の山野順子さんが講義を行った。
中島川公園(栄町)や魚の町周辺で猫の愛護活動を行ってきた同団体。代表の山野さんは2017(平成29)年から「行き場を失った猫を助けたい」と、野良猫のふん尿被害による問題が深刻化する同エリアで猫と地域住民が共生できる方法を模索しながら1人で活動を始めた。当初60匹ほどいた猫は現在では8匹まで減少し、共に活動するボランティアらと世話をしながら見守り続けている。今年3月には老猫ホームとキャットホテルを併設する譲渡型保護猫シェルター「咲く猫 Plus(プラス)」(香焼町)を開設するなど、活動の幅を広げている。
同大の吉牟田聡美准教授は同団体に支援物資などを寄付していたことがきっかけで、「学生にも地域猫活動を知ってほしい」と山野さんに相談し、講義が実現。昨年10月に続き2回目となる講義には同大国際文化学部英語学科2年生の学生8人が、「言語ボランティア演習」の一環として受講することになった。
山野さんは活動を始めるきっかけになった経緯を紹介するとともに、同団体の活動の中心となっている、野良猫を捕獲し、不妊去勢後に元の場所に戻し、餌やりやふん尿の清掃を行いながら地域猫として管理する「TNRM」活動について紹介。山野さんは避妊去勢手術を行いながら見守っていくことの重要性と「野良猫をゼロにする」という目標の意義について訴えた。同時に、人に慣らした上で譲渡する「TNTA」活動にも取り組んでいる。山野さんは「小さな命を生まれ変わらせる瞬間」として、病気になり目も背けたくなるほど汚い野良猫を保護してケアし、譲渡できるまでに回復した姿も紹介した。
学生からは活動の資金繰りやTNRM活動などの将来像について質問が寄せられた。
「尾曲がり猫」「猫の街」として猫を観光資源に掲げる一方、犬猫の殺処分数が毎年全国で最悪レベルの長崎県。「平和の街を掲げているにもかかわらず、小さな命が粗末に扱われている現状を、まずは知ってほしい」と長崎での殺処分の実態に触れた。「動物愛護に対する知識がまだ知れ渡っていない。知ることが解決の糸口。若い世代の人に現状を知ってもらい、知識を広げてもらいたい」と訴えた。
吉牟田准教授によると、学生らは自分たちにできることを模索し、これまでの語学学習を生かした活動につなげていくことを目指すという。