長崎の鮮魚を宅配するサブスクリプション(定期購買)サービス「one bite fish」を手がける「FFF(Find Fish’s Future)プロジェクト」が12月19日、橘湾赤潮被災養殖業者を支援する義援金を事業者に手渡した。
同団体は「日本一の豊富な魚種が取れる」長崎の水産業が抱える「認知度が低い」という課題の解決と同時に、豊かな魚食文化を持つ長崎の水産資源を生かしたPRを行いたいと、ジョイフルサンアルファ(長崎市江川町)や「F.デザインNAGASAKI」(鍛冶屋町)、伊藤忠インタラクティブ(東京都港区)などが中心となって3年ほど前から、長崎の鮮魚を宅配するサブスクリプションサービスなどを手がけてきた。
長崎市東部にある牧島周辺では橘湾の湾奥にある穏やかな海域を活用してトラフグやシマアジ、マダイなどを扱う養殖業者が事業を行い、同サービスにも鮮魚を提供してきたが、今年8月、橘湾一帯で大規模な赤潮が発生し、19ある事業者でトラフグやシマアジのいけすを中心にほぼ全滅する大きな被害が出ていた。長崎市たちばな漁業協同組合養殖部会の副部会長を務め、「ゆうこうシマアジ」の養殖を手がける長野陽司さんは「祖父の代から60年近く養殖をしてきているが、今回の赤潮は祖父も父も経験したことがないほどの規模だった」と振り返る。
現在は市の補助や県の支援事業で代替魚の確保が進み、長野さんのいけすでは「来年夏にはシマアジの出荷ができる見込み」と話すが、復興に向けた道のりはまだまだ長く険しいという。
同団体では被害の少なかった同海域の事業者が生産する「ゆうこう真鯛(まだい)」に長崎県産のサバフィーレやアオリイカ、ヒラス、「対馬あなご」を詰め合わせ、商品1点購入ごとに2,000円または5,000円を、養殖事業者に義援金として寄付できる商品を9月中旬に発売していた。
贈呈式にはF.デザインNAGASAKI永石一成社長とジョイフルサンアルファ新事業開発室の久保井成正さんが参加し、長崎市たちばな漁業協同組合養殖部会の西元崇博部会長や長野副部会長らに10月までの販売で集まった義援金16万5,000円を手渡した。
永石さんらは「販売事業者として手探りで取り組みを続けるなかで長崎の魚のファンが増えてきているという実感がある。今回も50人以上が義援金付き商品に賛同し、購入してもらった。義援金だけではなく、長崎の水産業を盛り上げるために活動を続けていきたい」と話す。「長く現場で頑張ってきた漁業者の方がいるからこそ今の長崎の水産業が維持されてきた。若い人につなげていくために義援金を少しでも役立ててもらえれば」とも。
西元さんらは「義援金は養殖事業者の復興に向けて活用していきたい」と話す。
義援金付きの商品の販売は来年3月までを予定する。