長崎特産の「ゆうこうマダイ」を使ったフルコースを味わうツアーで1月15日、「長崎創作和食 川徳」(長崎市田中町)に関西からのツアー客17人が訪れ料理を味わった。
「ゆうこうマダイ」は長崎伝統のかんきつ類「ゆうこう」を餌に混ぜて養殖することで魚独特の臭みを和らげたブランド魚。長崎市東部にある牧島周辺で養殖業を営む雄昇水産(牧島町)が3年ほど前から手がけてきた。
ツアーは長崎市水産農林政策課が長崎の魚の消費拡大を目指して長崎の魚をテーマに食や体験の観光コンテンツ化に向けた取り組みの一環。「ゆうこうマダイ」とともに地元のしょうゆメーカー「チョーコー醤油(しょうゆ)」(西坂町)で長崎の食を楽しんでもらおうと長崎国際観光コンベンション協会を通じてシティライントラベル(大阪市西区)に企画を提案し、実現した。
大阪南港発着のツアーに参加し、門司港行きのフェリーで九州入りした参加者は野母崎水仙の里(野母町)や大浦天主堂、グラバー園などを観光。13時に同店に到着した。テーブルにはこの日のために朝捕れたばかりの「ゆうこうマダイ」を使い、生き造りやカルパッチョ、タイしゃぶ、たい飯などを特別に準備したフルコースが並んだ。雄昇水産の西元崇博さんが「ゆうこうマダイ」の特徴などについて説明。チョーコー醤油の宮崎英樹さんが用意した2種類のしょうゆやポン酢、ドレッシングなどについて説明した。
ツアー参加者らは「ゆうこうマダイ」を楽しみながら会話に花を咲かせた。京都から参加した女性は「新鮮な魚を求めて自宅から片道2時間ほど車を走らせて出かけることもある。タイはとても新鮮で歯応えも楽しめた。九州出身なので甘いしょうゆにはなじみがあったが、しょうゆの食べ比べも良かった。ポン酢が一番お気に入りかも」と笑顔を見せた。他の参加者からも「おいしい」「ここまで新鮮な魚は地元で食べることができないので良かった」などの声が聞かれた。
ツアー参加者はその後、チョーコー醤油の製造を担う「長工醤油味噌(みそ)協同組合大村工場」(大村市)を訪れ、工場見学をして帰路についた。
市担当者は「今回は飲食店だけでなく新たにメーカーも加わった。今後は『戸石とらふぐ』やカキを楽しむ物販を絡めた企画も進めている」と言い、「ブラッシュアップしながら地域事業者と観光客との接点を増やし地域の活性化につながるよう目指してきた。魅力的な観光コンテンツにつながる取り組みにしていきたい」と意気込む。