長崎にゆかりのある魚類図鑑「日本西部及び南部魚類図譜(通称=グラバー図譜)」の魚図を印刷したカードが現在、長崎市役所や長崎市内の観光施設などで配布されている。
長崎市が取り組む「さしみシティプロジェクト」の一環で行う同取り組み。四季折々にさまざまな魚が水揚げされる長崎。一方、長崎に魚のイメージが定着していないことから「長崎市は刺身がおいしい」をテーマに魅力発信と消費拡大を目指して2021年9月に認定制度をスタートし、PR活動に取り組んできた。
グラバー図譜はスコットランド人貿易商トーマス・グラバーの次男で水産学者の倉場富三郎(トーマス・アルバート・グラバー)が明治末から昭和初期にかけて編さん。長崎で水揚げされた魚を形態や色彩、うろこの数に至るまで正確に描写。全32集806図に及ぶ図譜は倉場富三郎の死後、渋沢敬三を経て長崎大学水産学部の設立がきっかけとなり1950(昭和25)年に同大に寄贈された。
市では同図譜が長崎で水揚げされる魚の種類の豊富さも示していることから、同大の協力を得て、戸石地区でブランド化に力を入れているマダイやシマアジ、特産品になっていることから野母崎地区で地域おこしイベントにも使われるイセエビなど数種類をカードにして配布することを決めた。裏面には同プロジェクトの賛同店を紹介するマップのURLへのQRコードも掲載し、刺身を味わうことができる飲食店をスマホで探せるようにした。
9日に「長崎ランタンフェスティバル」が始まることから、イベント期間中はランタンバージョンを配布。出島やグラバー園、長崎のもざき恐竜博物館など市内の観光施設のほか、ランタンフェスティバルの会場でも配布する。
長崎市農林水産政策課の高岩琢磨さんは「ランタンフェスティバルとともにカードをきっかけに長崎のおいしい魚も味わってもらえれば。施設ごとに違うカードを用意しているので回ってみてほしい」と呼びかける。