長崎を拠点に活動するアート作家らやデザイナー、大学生などで構成する「チャオカオプロジェクト」が5月15日から、長崎市内各所で作品展示会をメーンとした「チャオカオウィーク」を開催する。
「チャオカオ」は「山の人」を意味するタイ語。不安定な情勢が続く中国やミャンマーなどで難民となり、タイ山岳部に移り住んだ4民族の伝統的な刺しゅうが施された手織り布やひもなどを素材とした製品やアート作品の展示会、伝統文化の紹介などを行う。
期間中、現代のファッションと山岳民族の伝統衣装を融合したファッションショーや、山岳民族のことを知るドキュメンタリー映画の上映、フェアトレードを介して社会的・経済的に立場が弱い人々の生活を守り、つながることをテーマにしたパネルディスカッションなどを予定する。
ファッションショーでヘアメークを担当する美容師の池田さんは「4民族のうちリス族を担当する。山岳民族の写真資料がほとんどないので布などの伝統模様から発想したヘアデザインをオリジナルで考えている」と話す。アート作品などを出す16人の作家たちも、「格好がいいものを作るだけではなく、フェアトレードの仕組みを理解して現地の人を支援することを念頭に置いた作品を作っている」という。
同プロジェクトを主宰する高野繭子さんは、長崎でタイ山岳民族が製作した手工芸品や長崎の作家の作品を取り扱う雑貨店「prawmai(プラウマイ)」(長崎市出島町)を経営。2004年から2年間、JICA青年海外協力隊として山岳民族の村に赴任した経験を持つ。
同店で委託販売を希望する作家が増え、長崎で活躍する作家らのデザインの可能性を広げたいと考えていた高野さん。山岳民族の伝統的なデザインを取り入れた作品制作について周囲に相談するうちにプロジェクトが発足し、JICA九州がイベント協賛することに。同プロジェクトへの共感者も増え、50人を超えるスタッフとともに、昨年5月から1年かけてプレイベントを数回実施するなど準備を進めてきた。
「国際協力を一生懸命やっている人が興味を持つイベントと思われがちだが、今まで国際協力に興味がなかった人も楽しめるように企画した。気軽に参加できるものから深く勉強できるものまである。スタッフも現地の人の生活を知ることから始めた。まずは足を向けて参加し目を向けてほしい」と高野さん。
5月28日まで長崎シビックホール(常盤町)で作品展示、タイ山岳民のパネル展示・映像紹介を行っている。そのほか、21日(長崎県美術館エントランス)=4民族の伝統衣装と現代のファッションのファッションショー、22日(長崎市立図書館多目的ホール)=民族の文化を知るゲーム開催や映画「空とコムローイ~タイ、コンティップ村の子どもたち」の上映会、28日(活水女子大学チャペル)=講演会などを予定。すべて入場無料。
詳しくは同プロジェクトのホームページで確認できる。