映画「今を紡ぐ明日」が11月21日、ローソン・ユナイテッドシネマ長崎(長崎市尾上町)で公開され、鈴木慎太郎監督とダブル主演の塩田みうさんと野元空さん、出演者の木本武宏さん、松村遼さんが舞台あいさつを行った。
幼い頃に親を亡くしたり捨てられたりした25歳のルームメート、美咲と七海の2人が孤独と個人主義に陥りがちな現代社会で、人とのつながりを探し求める物語を描いた同作。シングルペアレント育ちという共通の境遇で寄り添い合ってきた若い2人の運命が、それぞれの過ちや葛藤を通して、複雑に絡み合うストーリー。不倫の渦にのみ込まれ孤立する主人公・美咲を長崎市出身の俳優・塩田みうさんが、家を出た父の店に正体を隠して通い始めるダンス講師・七海を野元空さんが、それぞれ演じる。
映画公開を前に11月16日に発表された「信州諏訪ふるさと国際映画祭」で優秀賞を受賞した同作。主演の塩田さんが最優秀主演女優賞に輝き、ダブル受賞となっていた。
上映前に登場した鈴木監督らは、映画のテーマや塩田さんと松村さんの出身地・長崎について話した。「ロケ地はほぼ静岡だった」と振り返る塩田さん。長崎ではタレントとしても活動してきたことから、「俳優と言ってしまうと驚かれてしまうかも」と話すと会場が笑いに包まれた。鹿児島出身で長崎は何度も訪れたことがあるという野元さんは「鹿児島と同じく路面電車が走り、景色の奥に山がある長崎の風景に懐かしさと親近感がある」と話す。
映画の役作りについて「七海の生い立ちに自身の境遇が似ている」という野元さん。「父親との関係性が描かれているシーンが多い七海。どのように前を向いて進んでいくのか、自分の中から答えを引き出しながら演じた」と振り返る。ヨガ講師の役だったことからヨガの指導を受けながら役作りに取り組んだ塩田さん。「今まで見たことがないような役。美咲の人物像を監督と話し合いながら作り上げた」と振り返ると、野元さんと木本さんから「役作りのためにまとめていたノートがある」と話題が挙がった。恥ずかしそうに「台本の軸が多く、整理するためにまとめていた」と話す塩田さんに木本さんは「長崎の人にも塩田さんが俳優としてしっかりと歩き出していることを伝えたい」と声をかけた。
「登場人物が多く、いろいろな人が物語を紡いでいくストーリー。見る人で視点が変わる作品でもあるので楽しんでもらえれば」と鑑賞を呼びかける塩田さん。鈴木監督は「塩田さんと松村さんの出身地・長崎で公開初日を迎えられてうれしい。作品を、ここから一人でも多くの人に広めていければ」と締めくくった。