長崎市内の5つの幼稚園、保育園の園児たちが本物のくんちさながらに演技を行う「ちぴっ子くんち」が10月22日、湊公園(長崎市新地町)で行われ保護者など約1500人が見物した。
園児らは本物の小屋入り(長崎くんちの練習開始日)にあたる6月1日から練習を始め、傘鉾(かさぼこ)、川船、太鼓山(コッコデショ)、鯨の潮吹き、オランダ万才(まんざい)、しゃち太鼓、龍踊り(じゃおどり)、本踊りなど、それぞれの出し物に挑戦した。「ちびっ子くんち」は1990年、長崎旅博覧会のときに有志が集まって始まり、以来継続して運営されている。今回で22回目。スタート当初、園児として出演した人が結婚し、子どもが出演するという人も少なくない。
園児たちはそれぞれの出し物の衣装を着て中央公園(賑町)から湊公園まで市中パレードを行った後、14時ごろから演技を開始。本物と同じく、傘鉾を諏訪幼稚園の園児4人が披露。会場からは「かわいい」などの声が上がり、傘鉾が回り始めると「ヨイヤー」の掛け声があちらこちらから掛かった。
裏でシャギリ(おはやし)を務めるのは、江戸時代から現在まで長崎くんちのシャギリを担当している田中町中尾地区のシャギリ同好会のメンバー。傘鉾の後、一度だけ舞台で演奏し、会場からは大きな拍手が起こった。
小さい子どもなら誰でも参加できる「白ドッポ隊」も、その場で結成。白い法被を着た子どもたちが、アンコールの言葉「もってこい」を観客に促して会場を盛り上げる大切な役目を担う。終了後、白ドッポ隊の子どもたちは司会者から土産をもらって大喜びだった。
出し物と担当園は次の通り(出演順)。傘鉾・川船・太鼓山・鯨の潮吹き(諏訪幼稚園)、本踊り(大浦保育園)、鯱太鼓(立岩保育園)、オランダ万才・龍踊り(長崎北保育園)、本踊り(桐ノ木保育園)。
司会を務めた東京在住の前田真里さんは「東京にいると、故郷長崎のことが気になるし、ちぴっ子くんちは年1回の楽しみ。長崎くんちの担ぎ手が年々不足し、伝承が徐々に難しくなっていると聞く。幼いころに、ただ見るのではなく体験することで『踊りたい』『担ぎたい』という気持ちが強烈に育まれると感じている。開始前の掃除から後片付けまで全てボランティアで成り立っている活動なので、じげもん(地元人)としての一体感が沸いて、私も『ただいま』という気持ちがしてくる。子どもたちの成長を見ても親戚のような気持ちになる。来年は白ドッポ隊の子どもたちがもっと増えてくれれば」と話す。
当日の模様は11月6日朝6時から 長崎文化放送(NCC)で放映される。