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コーヒーを使ったイタリアン-長崎でトップバリスタがディナーイベント

エスプレッソカップの説明をする横山さん

エスプレッソカップの説明をする横山さん

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 龍馬カプチーノで知られる「デリシャス・レストラン・アティック」(長崎市出島町、TEL 095-820-2366)が6月28日、東京のイタリア料理店とコラボしてディナーイベントを開いた。

横山さんが参加者に提供したラテ・アート

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 コラボしたのは東京・六本木のイタリア料理店「デルソーレ」。同店バリスタの横山千尋さんは、イタリアン・カフェの技術者やジェラート職人として日本では草分け的な存在として知られる。ジェラートとはイタリア語で「凍った」という意味の氷菓。果汁や果肉、コーヒーなどを混ぜて凍らせることもあり、一般的なアイスクリームに比べて空気含有量が少ないため密度が濃く、味が濃厚なのが特徴。

 横山さんは1983(昭和58)年に大阪の調理師専門学校を卒業後、フランスやミラノ、東京で修業を重ねた。1985(昭和60)年に開いた「ネーベ・デラ・ルーナ神戸店」はイタリア・ジェラート協会から日本初の公認を受け、エキシボ・イン・ミラノ(アイスクリーム世界大会)で1987(昭和62)年まで3年連続で金賞を受賞した経歴を持つ。1997年に雪印乳業が発売し、「ねるねるじぇらじぇら」のCMでヒットした「ねるじぇら」も横山さんがプロデュースした。

 アティックの店長でバリスタの野田信治さんと横山さんが仕事を通じて知り合い、昨年1回目のイベントを開催。横山さんが、今月27日まで長崎浜屋(浜町)で行われていたイタリア展へ出店するため来崎するスケジュールに合わせてコラボ企画が実現した。野田さんは「横山さんはバリスタ界では雲の上の存在。ありがたいご縁で昨年開催することができただけでも夢のようなのに、超多忙なスケジュールを割いてもらえたのは奇跡」と話す。40人の定員に対し、長崎以外からも申し込みが殺到し、最終的な参加者は69人に。横山さんはディナーの食材を六本木から運び、アティックのスタッフと共に調理して参加者に提供した。

 「コーヒーを使った本格イタリアン」のタイトル通り、食材には随所にコーヒーを利用。横山さんは「コーヒーは本来農産物。通常の液体にする方法のほかにも普通はイメージしにくいだろうが、粉のまま食べることも、出し殻を食べることさえ可能」と究極のエコ料理を追及する。提供したメニューは「海鮮野菜の彩りサラダ」「パルメザンチーズのバルサミコ酢」「パスタ・カルボナーラ」「ホタテのバターエスプレッソ焼き」「鶏のローストバリスタ風」「エスプレッソ・ピッツア」「カフェ・ビアンコのパチューゴ」「〆のイタリアン」の8品。

 長崎市内から参加した大学生は「最初に出てきたサラダが衝撃的だった。みずみずしいサラダの味わいの中に、ほのかなコーヒーの香りを感じた」と驚く。ディナーの後は、横山さんが「イタリア事情」「カフェ事情」についてトークを展開。リストランテ、トラットリア、オステリアの違いや、イタリア人はドリップコーヒーを飲まないというエピソードに参加者からは「へ~」という声が漏れた。

 佐賀から参加した創作料亭のマスターでバリスタでもある高橋伸児さんは「昨年感動したので今回も参加した。横山さんの話はとても面白いし人を引き付ける魅力がある。自分は元板前だが不思議な縁でバリスタになった。今回の料理も素晴らしいし、とても勉強になった」と話す。

 横山さんにラテ・アートを作ってもらった女性は「飲むのがもったいない」と写真を撮って眺めていた。横山さんが「『僕の人生を変えた一杯でした』と言われたことが忘れられない。その人は自分にはこんな抽出はできないと諦めて焙煎師の道に進み、今では有名な焙煎師になった。自分がこの場に立てるのもエスプレッソと出合えたおかげ」と話すと参加者らはしきりにうなずいていた。

 イベントを主催した野田さんは「ぜひ年に1回の特別イベントにしていけたら」とも。

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