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長崎で陶芸家デザインの「ペット用仏具」-おわん型でコンパクトに

「天使のやすらぎ」ふたを閉じたところ。

「天使のやすらぎ」ふたを閉じたところ。

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 長崎のペット用メモリアル商品販売店「Key’s & Ko」(長崎市新小が倉)は2月2日、陶芸家でクラフトデザイナーの長谷川武雄さんがデザインしたペット用仏具「天使のやすらぎ」を発売した。

ペット用仏具を手に「持った感じが、まさに天使のやすらぎ」と話す店主の琴岡賢彦さん

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 「天使のやすらぎ」は2つの白いおわん型陶器がそれぞれ、線香立てとろうそく立てになっていて、ろうそく立てになっている「ふた側」をかぶせると、ちょうど大人が両手で包める程度の球状になる。ろうそくは逆さまになっても落ちない構造になっている。陶器の外側には天使の羽をイメージしたデザインの彫刻が施されている。

 店主の琴岡賢彦さんは2009年にペット用のアクセサリー販売業を創業。ネット販売など力を入れてみたがさっぱり売れなかったという。試行錯誤する中、家族のようにかわいがっているペットを亡くした人は、大きな悲しみに暮れたり、人間以上に熱心に供養したりする人が多いことに気づき、ペット用の仏具など供養するためのメモリアル商品を開発して、ペット霊園に卸す事業を始めた。琴岡さんは「私自身もペットを飼っているので、この子が死んだらと思うと、ペットを亡くした飼い主の気持ちが痛いほど分かる。少しでもそんな人たちの心の手助けになる商品を作りたいと思った」と振り返る。それまで売れなかったアクセサリーとは違い、ペット霊園を通じて「遺骨ペンダント」「ペット位牌(いはい)」など、琴岡さんのメモリアル商品は順調に売れ始め、楽天市場の「わんにゃんメモリー」はペットを飼う人たちの人気サイトになっている。現在の店舗は卸やインターネット販売だけでなく、地元の人たちに少しでも還元できる拠点にしようと昨年4月にオープンした。琴岡さんが現代の飼い主の気持ちに合ったかわいい仏具を開発できないかと考えていたとき、陶芸家の長谷川武雄さんとの出会いがあったという。

 長谷川武雄さんは1986(昭和61)年に長谷川陶磁器工房(諫早市森山町)を設立。日本クラフト賞、九州クラフトデザイン展・福岡通産局長賞、朝日現代クラフト展入選など多くの受賞歴があり、シンプルで機能的なデザインの作品が特徴。「飼い主にとって、いかにも仏具というものでは生活の中に違和感が生じる。人間でさえ仏壇がない家庭が増えている。この仏具は和風の部屋でも洋風の部屋でも違和感がなく、茶わんが置けるスペースさえあれば、生きていたときと同じようにいつでも手を伸ばして供養ができる。天使の羽は、思い出して悲しむのではなく、あの子は天使になったのだと、少しずつ少しずつほほ笑みに変えてもらうため」と琴岡さん。昨年末に長谷川さんにラフスケッチを渡し、最初の10個が届いたばかりだという。

 「自分のイメージ通りの満足できるものに仕上げていただき、お願いしたかいがあった。個人差はあるだろうが、手に持つととてもしっくりなじんで癒やされる感じがある。作るのに時間がかかり大量生産ができないため、今は最初の10個しかないが、ぜひ店頭でこの『しっくり感』を味わってほしい」とも。今後はインターネット販売も予定しているという。

 店頭での販売価格は6,800円。

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