JR長崎駅かもめ広場(長崎市尾上町)で12月13日、長崎大学経済学部の学生と老舗からすみ店の小野原本店(築町)がコラボした商品「長崎大学からすみ研究室」シリーズの街頭販売イベントが行われた。
「からすみ」はボラなどの卵巣を塩漬けにした後で塩を抜き、天日乾燥させた水産加工品。形が中国伝来の墨「唐墨」に似ていることから名付けられたという。ウニ、コノワタと並んで「日本三大珍味」の一つに数えられ、長崎は産地の一つとして広く知られている。高級な酒のさかなとして薄くスライスしたものが供されることが多い。
長崎大学経済学部丸山ゼミは県内企業が抱える問題を抽出して解決策を探る実践型ゼミを行っている。小野原本店を担当する班は、いずれも3年生になる4人の学生が同店に出向いてヒアリングなどを行った。
「大学生にとって、からすみは高級食材。小野原本店という店名も知らなかった。しかし、小分けの手ごろな商品もいろいろある。それを組み合わせて若者にも気軽に買えるお土産を作って知名度アップを図れれば」と、学生らはテーマ別に小分け商品をセットして4つの商品を開発。4人それぞれが「研究員」と称してシリーズ名を「長崎大学からすみ研究室」とした。
山崎由貴研究員が開発したのは「イタリアンで嫁入りセット」。「混ぜるだけでパンやサラダでもおいしく食べられる」がコンセプトのセット内容は、「からすみパスタオイル(100ミリリットル)」「生からすみ(30ミリリットル)」「からすみそぼろ(15グラム)」。山崎さんは「たまたまパスタオイルを見ていて思いついた」とほほ笑む。
山城万理研究員は「24時間ALLセット」を開発。セット内容は「からすみ茶漬け(2袋)」「からすみパスタオイル(同)」「からすみスライス(15グラム)」。「朝、昼、晩といろいろな種類を24時間楽しめるように考えてみた」と山城さん。「家族と一杯、晩酌セット」を開発したのは、加賀麻鈴研究員。「からすみスライス(同)」「からすみしぐれ(30ミリリットル)」「生からすみ(同)」。スライスも生も楽しめ、「お酒のおつまみをからすみで」と呼び掛ける。
唯一の男性、渡辺皓太研究員が「日本人はコメ。ご飯が進むセットを考えた」と力を込めるのは「ご飯もってこ~いセット」。内容は「からすみ茶漬け(同)」「からすみしぐれ(同)」「からすみそぼろ(同)」。「父がからすみ大好き。自分はご飯が大好きだから、ご飯好きの人にはおすすめ」とも。
長崎市内在住の柿本修さん、佳子さん夫婦は「イタリアン嫁入りセット」を購入。修さんは「たまたま通りかかったら面白そうだったので買った。からすみは私も妻も大好きで年に数回食べる。とはいえ、高級食材なのでやはり敷居は高い。これなら家族で楽しめるし、若い人でも親しみやすいと思う」と笑顔を見せる。
同商品を販売する土産品店「すみや」の貞住純子社長は、「からすみは長崎の名物だが高級品なので若い人にはなじみにくかった。学生さんに考えてもらったのが良かったと思う。これならおしゃれでかわいいし、ギフト品としても手ごろ」と話す。
価格はいずれも2,160円。「すみや」アミュプラザ長崎店、ホテルニュー長崎店のほか、長崎空港売店などで販売する。