中小企業庁などが主催する「情報モラル啓発セミナー」が11月26日、ホテルニュー長崎(長崎市大黒町)で開催された。
同セミナーは中小企業の経営者や実務担当者などを対象に2003年から全国の都道府県庁所在地などを巡回して年に数回開催されており、長崎で開催するのは今回が初めて。企業の経営者や実務担当者など約150人が参加した。
主催者あいさつの後、実際に情報漏えいが起こった企業をモデルにした劇ビデオの上映、「インターネット社会と人権」と題した牧野二郎弁護士の講演、「情報セキュリティー対策のあり方」についての内田勝也中央大学教授の講演が続き、最後に「いまなぜ情報モラルなのか」と題してパネル討論会が行われ、参加者は熱心にメモを取ったり質問したりした。
主催団体の一つ、ハイパーネットワーク社会研究所の渡辺律子さんは「企業活動にとってインターネットの活用が不可欠となった今、情報モラルへの取り組みは企業規模に関係なく必要となっている。しかし費用がかかる割には効果が見えにくいこの手の問題には規模が小さい会社ほど消極的になりがち。そこで人権への配慮という切り口から、何のために必要なのかということを再認識してもらえるよう構成している」と話す。
参加した若い実務担当者は「特にビデオが具体的で非常に分かりやすかった。こんなことは大企業の問題だろうと思っていたが、携帯電話のデータから情報が漏れても会社の存亡にかかわる問題が起こるかもしれないと知って怖くなった。情報モラルが低いと人権侵害につながると分かっただけでも意義があった」と話し会場を後にした。
上映された劇ビデオはハイパーネットワーク社会研究所のホームページからも見ることができる。