合同会社型分散型自立組織(LCC型DAO)の勉強会が11月27日、ながさき出島インキュベータ(長崎市出島町)で行われた。
主催は、今年4月に設立が可能となった合同会社型DAOやトークン取引の調査研究と事例創出を目指す「長崎県トークン取引研究会」。合同会社型DAOは、実態のなかったDAOに法人格を付与することでより信頼性を担保し、活動の幅を広げることができるようになった新しい形態。金融商品取引法(金商法)内閣府令の改正でデジタルトークンを活用することができ、合同会社における資金調達手段としても注目されている。
今年9月30日に「地域経済の活性化と日本全体のイノベーション推進に向けた取り組みにつなげたい」と立ち上げた同研究会。初の勉強会として企画したイベントには県議会議員や地域おこし協力隊として地域の活性化に取り組むメンバーなど約10人が集まった。
当日は同研究会副理事の山口知宏さんがDAOの仕組みについて紹介。リーダーを中心に組織化した企業と参加者が投票で物事を決めるDAOとの違いの例として映画「踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」に登場する警察組織と犯人組織で説明。それぞれの動き方の違いやメリット・デメリットなどを分かりやすく紹介した。
同研究会理事の野村耀平さんは合同会社型DAOの設立事例や運営における法的な問題などの事例を紹介。まちづくり協議会など地域活性化を目指す組織との親和性の高さにも触れた。
「解禁となって半年以上たつ合同会社型DAOだが、設立事例もまだ少ない」と話す野村さん。一方で数少ない設立事例の多くが長崎に集中していることから、「日本初の株式会社設立など、革新の歴史を持つ長崎。この精神を受け継ぎ、地域課題解決のモデルケース創出につなげたい」と意気込む。
参加した伊王島地域おこし協力隊の林田慎一さんは「長崎市南部エリアが協力して地域を盛り上げる機運が高まっていることから、合同会社型DAOを活用できるのではと思い参加した。地域を盛り上げるだけでなく、地域課題解決につなげられないかを模索したい」と話す。
山口さんは「今後も定期的に勉強会を開催し、課題などを共有しながら法整備の拡充などの提言も長崎から発信していきたい」と意欲を見せる。