三菱重工長崎造船の立神ドックで12月19日、海上自衛隊によるもがみ型護衛艦10番艦「ながら」の進水・命名式が行われた。
もがみ型護衛艦は多様な任務への対応能力を向上させたFFMとして2019年に1番艦「もがみ」が同造船所で起工し、2021年3月に進水。海上自衛隊では同型艦を12隻建造する計画でおおむね年2隻のペースで進水してきた。
当日は10時52分に号砲が鳴ると艦名の幕が下り、「ながら」と記された艦名が現れた。クラッカーとともに風船が放たれ、進水を祝った。
FFMは、対潜・防空能力を持ち、揚陸部隊や補給部隊などの護衛を任務とする艦艇フリゲートのFF(Frigate)に多目的(Multi -Purpose)と機雷(Mine)のMを足した多機能護衛艦という艦種。レーダーに探知されやすくなる構造物を艦内に格納し、ステルス性の高い形状を特徴とすることから「ステルス護衛艦」とも呼ばれる。
艦名は岐阜県を流れる「長良川」に由来。「ながら」の艦名は大日本帝国海軍の長良型軽巡洋艦の一番艦「長良」に続き2代目に当たり、海上自衛隊の艦艇では初の命名となる。もがみ型護衛艦はこれまで、「ゆうべつ」(北海道)、「もがみ」「のしろ」「なとり」(東北)、「あがの」(北陸)「やはぎ」(東海)、「くまの」(近畿)、「によど」(四国)、「みくま」(九州)と各地を流れる河川名が用いられてきたことから、新型艦にはまだ使われていない地方の河川名が用いられるのではないかと推察されていた。
基準排水量は3900トン、全長133メートル、全幅16.3メートルとコンパクト化した船体にガスタービンエンジンと1基とディーゼルエンジン2基を搭載し、出力は7万馬力。62口径5インチ砲1基、近接防空用艦対空ミサイル、艦対艦ミサイル、対潜・対機雷戦システムなどを主要兵装とし、通常型の汎用(はんよう)護衛艦の半分程度となる90人で運用可能。建造費も通常型の3分の2程度にとどめた。
「ながら」は艤装(ぎそう)や性能試験を経て、2025年度中に就役を予定する。