食べる 暮らす・働く

長崎の市民団体、廃棄野菜で駆除ウニ養殖 SDGs目指す

生育状況を説明する内野さん

生育状況を説明する内野さん

  • 0

  •  

 長崎の市民団体「team長崎シー・クリーン」が現在、野々串港で廃棄野菜を使ったウニの養殖に取り組んでいる。

5カ月養殖したムラサキウニ

[広告]

 長崎近海では磯焼けが進み生態系に影響を与えている。海藻が少ない海で育ったウニは食用に向かないことから、ウニの食害による磯焼けを防ぐため駆除していた。

 2021年から2、3カ月に1回、長崎市の野母崎地区を中心に清掃活動を行ってきた同団体。活動に参加する同港を拠点に軍艦島(端島)周辺などで漁を行う漁師の馬場広徳さんによると、「ウニ漁も行っているが漁獲は少なく、個人が直接購入するなど地元でごく少量のみが流通する程度」と話す。「海の保全と野母崎の新たな特産品につなげよう」と野母崎三和漁業協同組合とJA全農長崎の協力で昨年11月に同港の港内に養殖かごを設置し、同団体メンバーの内野由希子さんが中心となって取り組みを始めた。

 餌に使う野菜は傷みや規格外で出荷できずに廃棄される予定だったもの。30個ほどのウニが入る養殖カゴに、ブロッコリーやニンジン、大根を入れ養殖実験をスタート。「初めは丸ごとそのままの野菜を与えたが食いつきが悪かった。野菜を部位ごとにカットし、スライスするなど試してきた」と振り返る内野さん。ようやく食べられるサイズまで生育が進んだことから試食したところ、「大根やニンジンで育てたものはそれぞれの野菜の味が強く不評だった」という。

 4月19日に行った試食会ではブロッコリーで育てたムラサキウニを馬場さんが手際よく割って生育状況を確認した。馬場さんは「海藻で育ったものは海特有の磯の香りが強い。ブロッコリーを食べたウニはクセが少なく、ウニが苦手な人にも食べやすいのでは」と話す。

 同団体では今後も取り組みを続ける予定。「季節ごとに与える餌の量や頻度を試行錯誤してきた。今後は身入りの良さなど、よりいいウニを育てられるよう試していきたい」と話す内野さん。「環境保全や廃棄野菜の削減などSDGsにもつながる取り組みとしてだけでなく、野母崎の新たな特産品の一つになれば」と意気込む。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース