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長大経済学部でGHQ焚書と原爆の特別展 創立120周年展の一環で

展示の様子

展示の様子

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 特別展示「GHQ焚書(ふんしょ)と原爆の記憶」が現在、長崎大学付属図書館経済学部分館(長崎市片淵4)で開催されている。

宣伝用刊行物の没収に関する覚書の英文原本

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 1905(明治38)年に長崎高等商業学校として創立され、今年で120周年を迎えた長崎大学経済学部の歩みを伝えようと4月から同館で開催している記念展の第2弾として企画した。第二次世界大戦終戦直後の連合国軍占領下において連合国軍総司令部(GHQ)の指令に基づき特定の図書を没収した「宣伝用刊行物の没収」政策(いわゆるGHQ焚書)に焦点を当て、同校での具体的な実態をひもとく。長崎にとっては被爆80周年の節目の年でもあることから原爆に関する展示も行う。

 「GHQ焚書」の展示では1946(昭和21)年3月17日付けの連合国軍総司令官による「宣伝用刊行物の没収に関する覚書」を皮切りに46回にわたる追加覚書が発せられ、計7778点の書物や刊行物が没収対象となったことや、その目的が戦前の国家主義思想や軍国主義的な要素の排除にあったことを紹介。覚書の英文原本や当時の文部省を通じて同校に届いた通達文書などを展示している。没収を免れたり、古書店から入手したりした没収対象の書籍約20冊も並べ、手に取って見ることができる。

 「原爆の記憶」の展示では、「昭和二十年四月長崎工業経営専門学校入学者被爆体験集 原子雲の青春」から内容を抜粋してパネルで紹介。同校のある片淵エリアは原爆が投下された松山町から金比羅山を挟んで裏手にあることから「被害が少なかった場所」と言われているが、実態を示す資料が少ないことから周辺の被害などについて語られた部分にスポットを当てる。

 展示を企画した同校学術情報部の宮脇英俊さんは「GHQ焚書は日本を再び戦争に駆り立てることがないようにするための政策で、戦後日本の思想形成に大きな影響を与えたとされている。一方、言論の自由を奪い、戦前の日本人が持っていた知識や思想の一部が失われた側面がある。校内で見つかった通達文書や没収を免れた書籍などを実際に見てもらうことで、このようなことが行われた事実を知ってもらうきっかけになれば」と来館を呼びかける。

 「原爆の被害が少なかったことから被害状況にスポットが当てられてこなかった片淵エリアの実態について垣間見るきっかけになれば」とも。

 開館時間は9時~17時(土曜・日曜・祝日は12時~18時)。8月9日~17日は休館。入館無料。8月31日まで。

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