日本「長崎ねこ」学会(長崎市魚の町)という一風変わった団体が今年10月、2周年を迎える。
同学会が設立されたのは2008年10月7日。同会理事高島茂夫さんによると、小説「黒猫」で知られる作家、エドガー・アラン・ポーの命日にちなんだという。しかも、長崎では360年余りの歴史を誇る伝統神事「長崎くんち」の前日(まえび)に当たる日。
「当時、学会設立は地元のマスコミに好意的に取り上げられ、一時は取材ラッシュで対応に追われた」という高島さん。「マスコミで取り上げてもらうのは本当にありがたい。犬に『秋田犬』や『土佐犬』があるように『長崎ねこ』の名前をこの機会に広めたい」と話す。
長崎市内にある学会事務局には、学会の表札と並んで複数の表札が掲げられている。その一つ「企業組合eタウン」について、高島さんは「学会の本来の目的は、『長崎ねこ』という生きた地域資源を活用した長崎の活性化。その活動の一部を担うのがこれらの団体」だという。
同組合が運営する通販サイト「まちづくり屋」では、「長崎ねこ」グッズが11点を販売しており、そのうちネクタイやストラップなど4点は既に完売している。
「マスコミで紹介されたことも手伝って、よく売れた。グッズ販売のほかにもマスコットキャラクターを全国から公募し、東京のデザイナーさんの作品を採用した。そのキャラクターグッズも作った。自分たちで頭を悩ませるより、公募すれば黙っていても優秀な作品が集まってくる。人の力を借りることで口コミにもつながる。人の力は本当に偉大」。
そのほか、「猫さるく」(さるく=長崎弁で歩いてまわるという意味)と称した町歩きイベントを定期的に開いたり、猫川柳を募集したりするなど、「長崎ねこ」の普及に向けてさまざまな取り組みを行ってきた。
「今、地域に必要なのは工夫する知恵と、勇気をもってやってみること」と高島さんは力を込める。