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長崎市民会館で映画上映会-「疎開した40万冊の図書」

旧・日比谷図書館 © 2013cinemabox.bunkaiinkai

旧・日比谷図書館 © 2013cinemabox.bunkaiinkai

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 長崎市民会館(長崎市魚の町)で7月21日、ドキュメンタリー映画「疎開した40万冊の図書」(2013年製作)が上映される。

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 戦争中に蔵書を戦火から守るため、約1年間かけて図書館員や中学生たちが手作業で40万冊を疎開させた物語の同映画。九州での上映は今回が初めて。

 上映会は長崎市教育委員会と長崎県映画センターの共催事業だが、図書館関係者を中心に結成された「長崎上映を成功させる会」が上映に向けた活動を進めてきた。

 映画の舞台となる旧・東京市立日比谷図書館は1908(明治41)年に開館。東京の中でも中心館としての機能を果たしてきた。太平洋戦争勃発後、戦局悪化で1943(昭和18)年には東京の各図書館の蔵書を疎開させる検討が始まる。日比谷でも蔵書の一部が多西村(現あきる野市)に疎開した。1944年に新しく就任した中田邦造館長を中心に、残る約26万冊の疎開が検討されるが運び手の多くが兵役に取られていたため、当時の第一中学(現・日比谷高校)の生徒26人が動員された。

 中田館長はさらに民間人が保有する貴重な本も買い上げて疎開させることを提案。加賀豊三郎さん、井上哲次郎さん(ともに1944年没)、諸橋轍次さん(1982年没)などの民間コレクターから貴重な本を買い上げて疎開させた。

 現在、加賀さんから買い上げた約2万4000冊の蔵書は「加賀文庫」として東京都立図書館に所蔵されている。江戸時代の著名な浮世絵師・歌川豊国が描いた「源氏絵物語」、原作者・曲亭馬琴が自筆した「南総里見八犬伝」、江戸時代初期の代表的な料理指南書「料理物語」(1643年作)など貴重な資料が多数含まれている。井上文庫は哲学、宗教関係資料を中心に約2万4000冊、諸橋文庫は「本草綱目」「康煕字典」などの和漢書を中心に約2万冊に達する。

 1945(昭和20)年5月25日、連合軍の焼夷弾(しょういだん)攻撃により日比谷図書館は全焼。残された蔵書、約20万9000冊は一瞬にして灰となった。中田館長の指揮下で疎開した約40万冊の図書は奥多摩と埼玉県志木市に点在する民家の蔵の中で無事守られ、戦後回収されて現在でも所蔵されている。本作は金高謙二監督が史実を基に関係者の証言などをつぶさに集めたドキュメンタリー映画として仕上がっている。

 日比谷図書館のほかにも現代の図書に関する逸話が登場。イラクの図書館で3万冊を戦火から守った人のエピソードや、図書館のない福島県飯館村がインターネットで呼び掛け、5万6000冊の絵本が全国から集まった話、東日本大震災で壊れた図書館に代わって活躍する陸前高田市立の移動図書館の話などが紹介されている。

 金高監督は「史上空前の大移動。1年におよぶ移動は過酷を極め、図書館員や中学生たちがリュックや大八車を押して50キロも離れた奥多摩や埼玉県志木市まで何往復もしている。もし、疎開が実行されていなければ日本文化の多くが失われていた。戦争は人びとに直接のダメージだけでなく、民族の尊厳や文化を根こそぎズタズタに破壊する。この史実を一人でも多くの人たちに伝えることは、戦争を繰り返してはならないという恒久平和の願いに通じることだ」と製作に当たりコメントを寄せている。

 14時と19時の2回上映。鑑賞券は一般=1,200円(前売り=1,000円)、小中高生700円(当日券のみ)。メトロ書店本店、好文堂本店、ローソンチケット取扱店ほかで販売する。問い合わせは長崎県映画センター(TEL 095-824-2974)まで。

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