長崎・住吉中園商店街のたこ焼き店「バラエティーハウス・たこ焼き道場」(長崎市住吉町、TEL 095-849-1978)が1月19日、数量限定メニュー「トリプルチーズたこ焼き」の販売を始めた。
店主の峯幸里(ゆきのり)さんは1971(昭和46)年、同商店街生まれ。学生時代を大阪で過ごした際、大阪の食文化に魅了されて長崎にもその文化を広げたいと考え、1997年に同店をオープンさせた。
「長崎ではたこ焼きを自分で焼くという経験をした人は少ないだろうが、大阪では一家に一台たこ焼き器があると言われるくらい自分で焼くことが当たり前。たこ焼き屋をやるなら長崎にはないスタイルを作ろうと思った」と峯さん。たこ焼き作りを客が一緒に体験することで楽しんでもらいながら、出来たてのおいしい状態を提供するというのが同店のコンセプト。辛口万能ソースやゴマじょうゆ、明石焼き風のだし汁などを大阪から取り寄せている。
地元商店街の活性化にも積極的に参加する峯さんは3年ほど前、町おこしに使える食材を探す過程で「浦上そぼろ」に出合う。「浦上そぼろ」は、浦上地区で布教するポルトガル人宣教師が「健康に良い食べ物」として豚肉を日本人に勧めたことがきっかけとなって誕生したといわれている地元の家庭料理。
名前の由来については、ポルトガル語で「余り物」を意味する「ソプラード」が起源とする説や、素材を粗く切ることを「粗ぼろ」と呼んだことが起源とするなど諸説ある。峯さんが中心となって友人や協力するボランティアとともに「長崎浦上そぼろ町おこし隊」を結成。同メニューを復刻して同店で提供するほか、プロサッカーチーム「Vファーレン長崎」の試合会場で販売するなど普及活動に努めている。
今月、同店の人気たこ焼きメニュー「ダブルチーズ」(650円)に「もう一つ加えてトリプルチーズができないか」と考えた峯さん。試行錯誤の結果、「プロセスチーズ」「モッツァレラチーズ」が入っているダブルチーズに、「レッドチェダーチーズ」を追加した「トリプルチーズ」(700円)を考案した。
「チーズの油が程よく表面を焼いてカリカリになるのに中は軟らかい。この癖になる食感で人気が高いメニュー。レッドチェダーを加えたことでチーズ好きにはたまらない味だと思う。ただし、上手に焼くのが少し難しい」と峯さん。「トリプルチーズ」100食分を用意するが、材料がなくなり次第終了する予定という。
出来たてのおいしさにこだわるため、同店の全メニューは原則「持ち帰りお断り」。「うちのたこ焼きは十分にだしで味付けしているので確かに冷めてもおいしい。でも、出来たてと比べれば雲泥の差。出来たての一番おいしい時に、ぜひ明石焼き風のだしに浸けて食べてもらいたい。思わず『うまい』という言葉が出るはず」と自信を見せる。
「中心市街地と違って、観光客の人が住吉まで足を伸ばすことは少ない。だからこそチンチン電車の1日乗車券を買ったら、赤迫行きに乗って住吉まで来てほしい。ただの古い商店街のように見えるけど、ぶらぶら歩きながら地元の人と会話を楽しめば面白い発見がきっとある。これからも『ここでしか味わえない』味にこだわっていく」とも。
営業時間は11時30分~21時(ラストオーダー、日曜・祝日=20時)。水曜定休。