長崎の美顔サロン「のりえ」(長崎市中園町、TEL 095-845-7339)が福祉作業所と共同でオリジナルの「竹布マスク」を発売した。
竹布は竹から生まれた天然抗菌繊維。9年ほど前に竹布と出合い、その魅力に心を奪われたという店主の小畑佳子さんは「竹繊維でできた布というイメージが最初はピンとこなかった。しかし、知れば知るほど、その素晴らしさに魅了された」と振り返る。
大村市出身で「ナファ生活研究所」社長の相田雅彦さんが、1999年に竹から繊維を作ることを発想して誕生した竹布。当初、特許庁や国立国会図書館で竹の繊維について調べても資料は皆無に近かった。その後、2年の歳月をかけて初期の竹布を開発した相田さんは、その柔らかさや温かさに触れて将来性を直感。2001年夏、試作品のボディータオルを浴室に放置したところ、カビが生えないことに気づいた。財団法人日本食品分析センターに抗菌テストを依頼した結果、4万個のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が死滅していた。
相田さんは2009年に「竹から作る抗菌性を有するセルロース製造方法」、2011年に「殺菌竹繊維ガーゼ」で特許を取得。特に傷に癒着しにくい医療用ガーゼは一般社団法人を立ち上げ、他の竹布製品とは別扱いで普及に力を注いでいる。
「竹や笹でおにぎりを包んだ昔の人は、高い抗菌性を知っていた。竹布は菌が死滅するほどの抗菌性を持つ上、沈降法(竹布を水に沈める)・滴下法(竹布に水を滴下する)ともに1秒以内という高い吸水性と保湿性、温熱性に優れている。摩擦抵抗が低いため、静電気はほとんど帯電せず、体臭の原因となるアンモニアガスを99%除去する(財団法人日本化学繊維検査協会による検査結果)」と説明する。
「私のように肌や喉が弱い女性にとって、手放せないのが竹布マスク。抗菌性が高く、長時間使っても臭いがほとんどしない。これを使って何か社会貢献できないか」と考えた小畑さんは、福祉作業所・アトリエらぽ(長与町高田郷)の竹山清美所長に相談。竹布マスクに利用者が「レース加工」や「モチーフ加工」を行い、付加価値を付けた製品を女性を中心にテスト販売した。結果は、「かわいい」「どこで売っているの」という声が多く集まり、試作したおよそ20個があっという間に完売した。
「社会貢献の前提が一切なくても、欲しいと思ってもらえる価値あるものを提供するという原則部分で、小畑さんと意見が一致した。さらに社会貢献が加わることで、お客さまには喜んでもらい、作業をした利用者の人たちには工賃が払える。こんなにうれしいことはない。これこそ本当の意味での社会貢献だと思う」と竹山さん。
価格は1,512円。同店と、月の美術館(東山手町)で販売する。
小畑さんは「2店舗だけでは多くの人に届けられない。竹布マスクの素晴らしさを全国に広げたいので、ぜひ販売を手伝っていただける方は問い合わせてほしい」と呼び掛ける。