好文堂書店(長崎市浜町)が発表した週間ランキングで、長崎市内在住の飲食店経営者・吉田由美さんが刊行した「ひまわりが笑ってる」(文芸社刊)が第1位にランクインした。
同店の週間ランキングは2012年2月、同店で取り扱っていた自費出版本「ペコロスの母に会いに行く」(同年1月刊行、著者は漫画家・岡野雄一さん)がランキング内で急上昇。当時、全国的には全く無名だった岡野さんが連続トップを飾ったことがテレビや新聞報道、ネットの口コミなどで広がり、その後は商業出版(西日本新聞社刊)されて20万部を超えるベストセラーになったり、映画化されたりして「全国デビュー」するきっかけの一つとなったことで知られる。
吉田さんが今月15日に刊行したばかりの同書は、同名書籍の増補改訂版。吉田さんの長男「ゆう君」は小学1年生だった2009(平成21)年7月26日、突然の海難事故で帰らぬ人となった。ゆう君が誕生したのは長女が小学6年生の時。12年ぶりの男児誕生だっただけに、わずか6歳での突然の訃報を家族の誰もが受け入れられず、悲しみに暮れた。吉田さんは2年半ほど経過した2012年1月、 ゆう君の友だちや周囲の人たちに支えられて再出発する家族の姿を「ひまわりは笑ってる」という1冊の本にまとめた。ひまわりが大好きだったゆう君の思い出を胸に、ひまわりのように笑顔で明るく歩こうとする家族の思いが描かれている。
増補改訂版では同書を読んだ長崎出身の歌手・上奥まいこさんが、作曲家でピアニストの伊藤心太郎さんと同書をモチーフにして共同制作した曲「願い」の誕生エピソードなど、その後の動向などが加筆されている。吉田さんは「たくさんの人たちの温かい支えで再び本を出すことができた。息子も天国で喜んでいると思う」とほほ笑む。
週間ランキング2位は、長崎くんち塾編「長崎游学6 長崎くんち入門百科」(長崎文献社刊)。以下3位から5位までは、北野武さん著「新しい道徳」、曽野綾子さん著「人間の分際」(以上、幻冬舎刊)、姜尚中さん著「悪の力」(集英社刊)がランクインしている。