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長崎伊王島で難病患者と家族を旅行に招待する県内初の取り組み

到着した川野麻里絵さんと晴君を出迎える田中正男社長

到着した川野麻里絵さんと晴君を出迎える田中正男社長

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 難病患者とその家族を旅行に招待する「ウィッシュ・バケーション」に招待された川野さん一家が8月31日、i+Land nagasaki(長崎市伊王島)を訪れ家族との時間を楽しんだ。公益社団法人「難病の子どもとその家族へ夢を」(東京都中央区)が企画し、i+Land nagasakiとカトープレジャーグループの協力で実現したもの。

部屋で晴君を休ませてインタビューに答える川野麻里絵さん

 同団体を運営する大住力さんは、もともと大手レジャー施設で勤務していたが、研修で訪れたアメリカで社会と障がい者の関わり方や支援の在り方に日本との大きな違いを感じ、現地で目にした「ウィッシュ・バケーション」を日本でも行いたいと一念発起して団体を立ち上げた。資金は寄付のほか、大住さんが運営する人材育成会社の収益や協力企業からの現物支給などによって賄い、これまで200人以上の難病の子どもたちを日本各地の旅行に無料で招待している。今回は旅費を同団体が、受け入れ先のカトープレジャーグループがホテルの宿泊など滞在費を全て負担した。

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 伊王島を訪れた川野さんは、1歳になる第2子の晴ちゃんが生後約半年で脳腫瘍の一種である松果体芽腫と診断され、抗がん剤治療などに伴う病院生活が長く続いていたため、今回が初めての家族旅行となった。ウィッシュ・バケーションでは通常、2泊3日の滞在で2家族同時に招待するが、今回は晴ちゃんの病状や支援体制を考慮して1泊2日で1家族のみにカスタマイズした「シンデレラ・プログラム」による滞在となった。

 13時に同施設に到着した晴ちゃんと両親、姉と祖父母は田中正男社長を始めスタッフから熱烈な歓迎を受けた。すぐに隣接するレストランで家族での昼食を楽しんだ後、同施設内を思い思いに楽しんだ。この旅行で一番楽しみなのはイルミネーションアトラクション「アイランドルミナ」だという母親の絵里奈さんは、「多くの方の協力で旅行が実現できたことに感謝の気持ちしかない。特別にデコレーションされた客室に案内された時は、みんなで思わず涙してしまった。宿泊を受け入れてくれただけでなく、温かい心遣いが本当にうれしい」と話す。

 受け入れを行うi+Land nagasakiは滞在中、支援のためのスタッフを専属でつけることを決めた。田中社長は、「新入社員にお願いした。川野さんのように支援を必要とするお客さまのお手伝いをすることで、普段以上にお客さまが喜ばれるはず。お客さまに喜んでもらえるという経験を今後の仕事に生かしてほしい」と話す。「今後はさらに長崎でインクルーシブな施設としての取り組みも強化していきたい」とも。

 長崎県内で初めての試みとなったウィッシュ・バケーション。i+Land nagasakiを運営するカトープレジャーグループが保有する県外の施設での開催実績があったことから、同施設への招待が決まったという。大住さんは「難病患者や障がい者などが宿泊施設を利用する場合は支援を行う必要があるため、難色を示されることも多い。快く引き受けてくれたKPGさんの姿勢はとてもうれしい」と話し、「取り組みを通じて難病患者や家族に希望を届けるだけでなく、難病患者や障がい者などに対する社会の在り方や接し方などを考えてもらえるきっかけになれば」と意気込む。