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長崎で外国人観光客にウエルネス体験を 中小企業とインバウンドつなぐ取り組み

Ai国際医療研究所所長の有永洋子さん

Ai国際医療研究所所長の有永洋子さん

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 2019年7月、長崎で多様な健康・ウエルネス体験を外国人観光客に提供するプロジェクト「ながさきウェルネス」がスタートした。

ながさきウェルネスのメンバー

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 ウエルネスとは健康をベースに、豊かな人生、輝く人生を目指し、より広く「生き方」「ライフスタイルデザイン」「自己実現」を表したもの。観光と組み合わせた「ウエルネス観光」は近年、欧米の富裕層を中心に広がってきており、非営利団体GWI(Global Wellness Institute)は、2015年に世界で6億9000万人の人々が参加したと発表している。「ながさきウェルネス」は中小企業のインバウンド対応を支援し、客数、滞在時間、消費額の増加による地域活性化を目指す。

 中心メンバーのAi国際医療研究所所長の有永洋子さんは「定期的な研修とマニュアルを作ることが重要。最初のインストラクションを作れば、後はお互いの意思疎通ができ、次に『何をしようとしているか』伝わることで安心してもらえる」と話す。

 有永さんは大阪生まれ。約10年看護師として働いた後、最先端の緩和ケアやホスピスについて学ぶため、1995(平成7)年にオーストラリアへ留学。看護師がマッサージやアロマを用いた緩和ケアするのを見て、日本との差に衝撃を受けたという。「学びを現場に還元したい」という思いから帰国後3年間看護師として勤めた後、再留学を経て2010(平成22)年、東北大学で博士号を取得。長崎大学で准教授を務めた後、Ai国際医療研究所を設立した。

 看護一筋に研究してきた有永さん。長崎での研究に一区切りをつけた頃、「今まで病院の患者のために学びを還元してきたが、これからの人生はこのままでいいのか一度立ち止まって考えた。そこで、患者に限らず、人が幸せに過ごすことに貢献したいという気持ちに気付いた」と笑顔で話す。

 人を楽にさせるケアの能力は、海外でウエルネスとして観光分野に一役買っていることを知った有永さんは「観光産業が盛んな長崎で質の高いウエルネスを海外の旅行者に提供すれば、観光客も地域も幸せになる」と決意。薬学博士でもある山下康子さんや、ほかの仲間と共に「ながさきウェルネス」を発足。総合的な観光体験を共に開発しているという。

 有永さんは「長崎は国際的に有名な観光都市。2019年はラグビーワールドカップ、2020年は東京オリンピック。その後2025年にも大阪万博という、国際的にアピールするチャンスが続く。現在、海外の富裕層向けにネットやSNSを使って英語による情報を発信しており、これまでもアメリカからの問い合わせがあった。現在、ロサンゼルスの旅行会社とも交渉し、今年中に第1弾を開催する予定。今後も参加する事業主次第で多様な健康・ウエルネス体験に育つと思う。一度問い合わせてほしい」と話す。

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