土木キッズアカデミーが8月30日に開催され、午前は学童保育助青空クラブ(長崎市畝刈町)、午後は長与南児童館(西彼杵郡長与町高田郷)で出前授業が行われた。主催は「噂(うわさ)の土木応援チームデミーとマツ」。
アカデミーでは主催のデミーこと出水亨さんとマツこと松永昭吾さんによる土木の話に加え、長崎公式観光ブロガー「ともっち」こと岡村真理さん、国土交通省長崎河川国道事務所副署長の上村雅文さん、午後の部からはみやじまんこと代々木ゼミナール地理講師の宮路秀作さんの3人をゲストに迎え、それぞれの立場から土木との関わりを子どもたちに教えた。午前・午後を通して親子合わせて70人を超える参加があった。
観光という立場から子どもたちに向け、長崎市内の斜面や猫などの写真を題材に話を進めた岡村さんは「どうして長崎の猫は尻尾が短いのかな?」などの質問を投げ掛けた。諫早市に建設中の本明川ダムについて、ダムの構造をペットボトルで作った模型を用いて子どもたちに実演しながら解説。宮路さんは「地理」という立場から標高を色分けした地図を使って地形を解説し、イラストを描きながら東京や鎌倉、長崎との違いを説明した。
主催者の出水さんは「水や下水がなかったら?」「港がなかったら?」「道がなかったら?」などといった生活に関わる質問を子どもに問い掛け、「水が飲めなくなる」や「車が走れない」などと答える子どもたちに、自分たちの生活と土木が密接に関わっていることを解説し、子どもたちがうなずきながら聞き入る場面もあった。松永さんは熊本地震を題材に写真や図を交えて、地震が起こるメカニズムを紹介し、「これが熊本地震の犯人です」と分かりやすく説明した。海外で現場の設計を行った経験もあることから、現在パキスタンで建設中の橋の写真も紹介した。地殻変動でハワイ島が毎年8センチ近づいていることを説明すると、子どもたちからは「やったー」などの声もこぼれた。
講師を務めた5人はそれぞれ説明の最後で「長崎がこんなところ、と大人になっても話せるようになってほしい」「将来のためには学校で教えてもらうことがとても大切。しっかり学校で勉強しよう」など、思い思いのメッセージも子どもたちに伝えた。
長与南児童館での開催は今年4月に開催した土木・防災教室に続き2回目。前回の教室に子どもが参加し、今回は親子で参加をしたという保護者の一人は「直近に佐賀県を中心に大雨の被害があったばかりで今日の話もとても現実味があった。自宅の周りの危ない箇所をチェックしないといけないと感じた」と振り返った。小学4年生の娘さんは「デミーさんの話が面白かった」と今回の感想を話す。
今回会場を提供した長与南児童館の職員は「思った以上に子どもたちの知識に驚いた。興味関心がある子どもが多いことが分かりよかった。大人が聞いても驚くこともあり、今後もこのようなイベント続けることで子どもたちの新しい発見につながれば」とほほ笑む。
ゲストとして初参加だったともっちさんは「普段は子どもに関り、子ども向けに話す機会がない。子どもたちのリアクションをみることや他の講師の話を聞くことでとても勉強になった」を講師を務めた感想を話す。東京から駆け付けたという宮路さんは「自然環境の上に私たちが住んでいるということが伝わればうれしい。今日の話で子どもたちの中に何か爪痕が残り、家庭でその日の感動などを話すことができれば」と、子どもたちの反応を見ながら振り返った。
出水さんは土木キッズアカデミーを振り返り、「学校で習わない難しい内容の話をしたので関心を持ってくれるか不安だったが『楽しかった』『面白かった』といったコメントが多く、伝わる講義ができ自信になった」と話し、「今回は長崎市と長与町で行なったが、今後は長崎県内全域に活動を広げ、土木や防災について多くの子どもたちに関心を持ってもらいたい。講義の要望があればデミーとマツまでぜひ連絡してほしい」と今後の開催にも意気込みをみせる。