長崎市深堀町で100円の弁当を子どもたちに配達する取り組みが3月4日、始まった。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ措置として長崎市内の小学校が臨時休校していることから、深堀町などで居酒屋を営む五平太の代表・伊藤弘和さんが「多くの児童が給食を食べられない状況をどうにかしたい。何か地域で支援ができないか」と意見を募り、始めたもの。
「2月27日に自身のSNSで支援のアイデアを募ったところ、多くの知人からさまざまな声が集まった」という伊藤さん。自社で行っている弁当の仕出し事業を生かし、深堀小学校の児童がいる家庭で困っている人たちに弁当を届ける活動を行うことを決め、翌日早朝には、自治会長や深堀小学校の校長に相談。昼には広告チラシの作成に取り掛かかり、同日夕方には深堀小学校の児童へチラシが配られた。弁当の容器や食材もSNSの投稿を見て「協力したい」と名乗りを上げた長崎の業者が提供。取り組みに賛同した民生委員が配達を行うなど多くの協力も得られたことで実現した。
深堀町で育ったという伊藤さん。先代である母の代から自治会などを通し地域に根付いた活動にも深く携わってきた。「深堀地区で、休校になった子どもたちに温かい弁当を届けたいと居ても立っても居られなくなった。SNSでの発信がこんなにも多くの方につながり、いろいろな課題をクリアしてすぐに形にできたのは、地域との関わりがあったから」と言い、「SNSに対するネガティブな情報が多い中、とても良いことではないか」と笑顔を見せる。「母校である深堀小学校の子どもたちに知ってもらうことで、将来『お弁当のおじちゃん』として店に飲みに来てもらえたらうれしい」とも。
配達は3月4日~24日。以降の活動についてはまだ計画はないが、「この活動をきっかけに続けて何かできないか検討している」と言う。
「深堀町から始まった取り組みがきっかけで、他の地域の取り組みも増えていってほしい」と話す伊藤さん。「今後は安全かつ多くの人たちにお弁当を届けること仕組みを構築し、深堀地区以外にも広い地域にお弁当を届けられれば」と意気込む。