台風10号が過ぎた9月8日、出島ワーフ(長崎市出島町)にあるカフェ「ATTIC COFFEE 2nd(アティックコーヒーセカンド)」前にある街路樹に巣をかけていたハトの無事な姿が確認された。
ハトが訪れたのは3週間ほど前。つがいで木の枝などを運び込み、2メートル60センチほどの高さにある木の分け目に巣作りを始めた。このカフェに務める伊藤千晶さんは「1羽がずっと巣にいることに気づき、『卵を産んでいるのではないか?』と思って毎日見守っていると数日後、巣からヒナが顔をのぞかせた」と話す。
9月2日に非常に強い台風9号が長崎に接近すると暴風と大雨が襲った。長崎港に面する同店は安全面から18時に閉店していたことから、伊藤さんは「心配で気が気でなかった」と振り返る。翌朝店を訪れると、そこにはハトの親子の元気な姿が見られ、常連客からも喜びの声が上がったという。
9月6日夜から7日にかけては特別警報級の台風10号が長崎に接近。野母崎で瞬間最大風速59・4メートルを記録するなど、観測史上最大を更新し、各地に爪痕を残した。8日朝、「もしかしたら」と心配しつつ出勤したという伊藤さんは「無事な姿を確認した瞬間、感動した」と笑顔を見せる。
「ハトの親子について常連客とも話をすることが増えた」とも。「スタッフものぞきに行くなど、みんなで成長を見守っていることから、すっかりお店の一員になっている。元気に巣立つところまで見守っていければ」とほほ笑む。