長崎市野母崎一帯で2月22日、「第0回釣りポイば止むーでin樺島」が行われ、長崎の海を愛する有志約50人が集まって清掃と声掛け運動を行った。
浜口町にある地鶏料理店「嘉悦」などを営む嘉悦正臣さんの呼び掛けで行われた同イベント。コロナ禍を受け、外で楽しめるレジャーの一つとして釣りの人気が上昇。ネットでも取り上げられたこともあり、釣り人が急増したことで各地の漁港や釣り場近くのコンビニなどでゴミの不法投棄やマナー違反などが問題となっていた。
市内中心部から1時間足らずで行くことができ好釣場の一つとして人気が高い野母崎周辺でも同様の問題が起こり、釣り人を締め出す動きも起こりかねない状況になっていた。このままでは海が汚され、釣りを楽しむ場所がなくなってしまうと危惧した嘉悦さんが「港を守る会をしよう」と仲間に呼び掛けたことで活動が始まった。
13時に樺島にある大漁橋に集合した約30人がゴミ袋とトングを手に釣り場の清掃をスタート。野母崎の永遠の非公認キャラクター「水仙マン」も駆け付け、1時間足らずで軽トラック1台分以上のゴミが集まった。中には茂みにそのまま捨てられた包丁もあり、参加者からは驚きの声が上がった。
メンバーらはその後、大漁橋から長崎方面に戻った脇崎漁港に移動。途中から加わった参加者の姿もあり、総勢約50人規模に。地元参加者のアドバイスもあり、風に飛ばされたゴミが集まりやすい場所を見に行くと、さらに大量のゴミが見つかった。集まったゴミは15時までの2時間の活動で軽トラック5~6台分に膨れ上がった。参加した男性は「自分でも竿(さお)を握るが、大事な釣り場にゴミなんか捨てられない。現状を実際に見てマナーの悪さに心が痛んだ」と話す。
「ニュースを見て勢いで始めた活動。10人程度の小さな規模を予想していたが、多くの人の協力あり、気付いたら多くの人の参加に驚きを隠せない」と話す嘉悦さん。「集まったゴミは漁具や生活ゴミもあったものの、大半は釣具のパッケージや弁当箱、ペットボトルなど釣り人の出すゴミ。中には使い捨てられた釣り竿や危険なものもあった」という。
嘉悦さんは「今後も定期的に運動を行っていきたい。年2回の大きな活動に加えて個人レベルでできることを続けていければ」と話し、「ゴミをゼロにすることは難しいが、減らすことはできる。運動の輪を広げて話題になることでポイ捨てなどの抑止にもつながる。マナーアップすることで釣り場環境の保全と同時に釣り場周辺の地域住民や漁業者にも快く受け入れてもらえるようにしていきたい」と意気込みを見せる。