ホテルベルビュー長崎出島(長崎市江戸町)内にあるレストランが3月1日、全面リニューアルし、コロナ禍に対応した新しい朝食サービスを始めた。
アクセントとして取り入れた「唐紙」と出島をかたどったパーティション土台
九州教具(大村市桜馬場)が長崎市と波佐見町で運営するQ-bicホテルズ4館の一つで、ビジネスホテルとして2001(平成13)年に新築開業した同館。朝食バイキング会場として運用していたレストラン「出島キッチンクローバー」は客室数200程度のホテルとしては手狭だったため、2年半ほど前から改修を検討していたという。
明るい木目調の店内はホテルから徒歩5分ほどの場所にある史跡「出島」の出島和蘭商館をイメージ。同社事業推進部の内村灯さんが調べたところ、16世紀ごろ、ヨーロッパで建物に壁紙を取り入れる文化が始まったとされており、当時の日本で手に入る壁紙材として中国から伝わったふすま紙「唐紙」が当時のオランダ商館の壁紙として使われたのではないかといわれていることがわかったことから、出島の石畳や唐紙、2019(平成29)年に架けられた出島表門橋などをイメージした内装を採用した。テーブルの天板などには抗ウイルス加工が施された素材を採用し、天井には殺菌灯を導入。座席数も24席に減らしつつ、部屋食に対応することで密を防ぐなど安全な環境を目指した対策を施す。家具メーカーとの協働で開発を行い、飛沫感染防止のパーティションにもヨーロピアンな調のすりガラス物や、出島をかたどった県産木材を土台にすることで「出島」の世界観を演出する工夫も施す。
内村さんは「昨年春ごろから新型コロナウイルスの感染拡大を受け、改修計画はいったん白紙になっていた。その後、系列ホテルから感染者が出たことでよりいっそう清潔・安心・安全な環境を提供することに全社を挙げて取り組むことになった」と話す。
提供するメニューも食品ロス低減や部屋食対応にこだわったビュッフェスタイルにリニューアルした。「出島でピクニック」をコンセプトに、ワクワク感のある演出を目指しつつ、部屋に持ち帰りやすい深さのあるかごを採用した。メニュー数を減らしつつクオリティーを向上させ、小分けパッキングすることで感染拡大防止も目指す。
内村さんは「コロナ禍を経てより安心安全で洗練されたスタイルでリニューアルを遂げることができたのではないか」と話す。「感染状況が落ち着きつつあるが、宿泊客は仕事でやむを得ず長崎を訪れている方が多い。朝食は一日の元気の源になる。明るく、楽しいものにしたい。レストランを利用してもらうことで出島を訪れるきっかけにもなれば」とも。
営業時間は6時30分~9時30分。料金は、大人=1200円、小学生=600円、小学生未満無料。ホテル宿泊者以外も利用できる。