見る・遊ぶ 学ぶ・知る

長崎でサトミ・へニックフェルト写真展 「コソボ紛争」テーマに約150点

来場を呼び掛ける中村さん

来場を呼び掛ける中村さん

  • 12

  •  

 サトミ・へニックフェルト写真展「KOSOVO 紛争のあとで」が9月7日、ナガサキピースミュージアム(長崎市松が枝町)で始まった。

写真展の様子

[広告]

 長崎出身のサトミ・へニックフェルトさんは、駐在員として日本を訪れていたことがきっかけで知り合った夫の帰国に合わせ1989(平成元)年、共にドイツ・デュッセルドルフに渡った。現地で生まれた娘が通う小学校で、コソボ難民の子どもと出会い、家族ぐるみの付き合いになったバイラクタリ家との縁で2011年に初めてコソボを訪問。これまでに3度コソボを訪れ、紛争後のコソボを写真に収めてきた。

 アマチュア写真家として、普段はストリート写真を専門に撮影するというサトミ・へニックフェルトさん。コソボで撮影した写真はこれまで、国内外で個展やグループ展を開催したほか、2015(平成27)年には「The Exposure Award」ドキュメンタリー部門入賞を受け、フランスのルーブル美術館にも展示された。

 長崎初開催となる個展は当初、紛争終結20周年となる昨年行う予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて延期となり、1年越しでの開催となった。会場には、サトミ・へニックフェルトさんが2015(平成27)年と2019(平成31)年にコソボを訪れた際に撮影した写真約150点を展示する。現在も海外への渡航は難しい状況となっていることから、会場では妹の中村敦子さんが可能な限り在廊し解説などを行う。

 2015(平成27)年にコソボを訪れた際は撮影した合同葬の写真は紛争で顔にやけどを負い、日本のNPOに助けられて東京で手術を受けたベシアナ・ムスリウさんから声を掛けられたことがきっかけで立ち会うことになった。紛争で亡くなった身元不明者のDNA鑑定が終わり、合同葬が行われることを教えてもらい、夢中でシャッターを切ったという。会場にはこのほか、バイラクタリさんの実家やコソボの日常風景や街並みを収めた写真が並ぶ。

 サトミ・へニックフェルトさんがコソボで撮影を行うようになった経緯について、中村さんは「姉もコソボ紛争が発生した当初はニュースで見るくらいでユーゴスラビアのことはよく知らず、『遠い国で起こっていること』と関心を向けることもなかった。バイラクタリ家との出会いがコソボの生活を知り、民族や宗教について考えるきっかけになった」と話す。「現在もどこかの国で民族対立が起こり、多くの人が犠牲になっている。写真展が1年延期となり偶然にもアフガニスタンの惨状とも重なった。写真の中でなにか一つでも心に響くものがあれば」とも。

 開催時間は9時30分~17時30分(最終日は14時まで)。9月13日・21日・27日休館。10月3日まで。入場無料。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース