長崎市住吉町にある三菱兵器住吉トンネル工場跡で8月7日から、「ながさき平和の日」に合わせて内部の一般公開が行われている。
同工場跡は第二次世界大戦(太平洋戦争)末期、戦況の悪化に伴い国内各地が空襲を受けるようになったことから、当時国内屈指の魚雷生産拠点となっていた三菱重工業長崎兵器製作所の軍需生産の長期確保と強化を図る目的で、1944(昭和19)年8月から6本のトンネルが掘り進められ、逐次生産設備が運び込まれた。
工場では当時、2交代または3交代による24時間体制で動員学徒や挺身隊から成る約1800人が魚雷部品の生産に従事していたといい、トンネル内には生産されていたものと同型の航空機用魚雷(九一式魚雷)の実物が展示されている。
1945(昭和20)年8月9日に投下された原子爆弾によって工場の周囲は甚大な被害を受けたが、工場内は大きな被害を免れ、避難所や救護所として使われた。完成した4本のトンネルのうち2本が工場として使われており、残りの2本のトンネルは掘削中だったが終戦により役目を終え放棄されていた。
2010(平成22)年3月に、当時工場として稼働していた1号・2号トンネルを見学できるよう整備し、同市が策定する被爆建造物等に上から2番目に重要度の高い「Bランク」として登録されている。トンネル入り口に柵が設置されているが、「ながさき平和の日」と「国連軍縮週間」に合わせて年に2回開放して一般に公開されている。
公開時間は8時30分~18時30分。入場無料。今月10日まで。