画家・岡本泰彰さんの個展「岡本泰彰展~ナガサキ生まれの生きモノ~」が長崎県美術館(長崎市出島町)県民ギャラリーCで2月22日から開催される。
岡本さんは長崎県西海市の出身。美容学校を卒業した2001(平成13)年、美容をより深く学ぼうと渡英したが、英語でのコミュニケーションもままならなかったことから美術書やアートに触れる機会が多かったという。同年9月に発生したアメリカ同時多発テロ事件の影響で規制が強化されるなどしたため計画が頓挫。一足先に現地入りしていた岡本さんは当時住んでいた家の近隣で画家・フランシス・ベーコンの作品に触れる機会も多かったことから影響を受け、イギリスで本格的に絵画の創作を始めた。
その後、スペインやカナダ、アメリカ、ドイツと拠点を移しながら活動を続けた岡本さん。国内での個展が決まったことから2019年に一時帰国していたタイミングで、新型コロナウイルスの感染拡大により国をまたいだ移動が困難となったことから活動拠点を西海市にある実家に移した。
動植物をモチーフに洋画やアクリル画、水彩画、版画、ミックスドメディアなど幅広いジャンルの絵画を手掛ける岡本さん。キャンバスの製作も自ら手掛けることで変形キャンバスやさまざまな画材を組み合わせたテクスチャーを取り入れるなどジャンルにとらわれない自由な表現が特徴の一つ。帰国後、2019年に長崎県美術展で新鋭賞、2021年には同賞入賞や佐世保美術展で特賞を受賞している。今年の長崎県選抜作家美術展にも出展するなど活動の幅を広げている。
展覧会では新作8点を含む約35点を展示する予定で、長崎バイオパーク(西海市)の生き物を描いた作品や縦1.8メートル、横6.3メートルのアクリル画の大作「西の海で魚群と再会」などを並べる。岡本さんは「ここまで大きな作品を集める機会はなく、ここ数年では最大規模の個展。ぜひ見に来てもらえれば」と呼び掛ける。
開館時間は10時~18時。入館無料。今月27日まで。会期中は岡本さんが在廊する。