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今年の県展受賞作品発表 最高賞にコロナ禍の風潮を表現した彫刻作品

西望平和賞を受賞した兼原さんの彫刻作品「蝕(むしば)まれたト・ル・ソ」

西望平和賞を受賞した兼原さんの彫刻作品「蝕(むしば)まれたト・ル・ソ」

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 長崎県美術展覧会(県展)の受賞者・入賞者が9月18日に発表され、兼原啓二さん(諫早市多良見町)の彫刻作品「蝕(むしば)まれたト・ル・ソ」が最高賞となる西望平和賞に選ばれた。主催は長崎県美術協会。

日本画と書の展示スペースの様子

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 長崎県内最大の公募展として66回目を数える同展覧会。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大を受けて中止となっていたが、今年は感染症対策を行いながら開催することとなり、8月上旬に募集を開始。「日本画」「洋画」「彫刻」「工芸」「書」「写真」「デザイン」の7部門に1157人から1350作品の出品があった。

 これまでにも同展で入賞と入選各1回の受賞歴がある兼原さん。木彫りの大作となる今作は緻密な表現技法で目に見えないものにむしばまれる怖さが木の実在感と相まって表現されていることが高く評価され彫刻部門最高賞となる知事賞に選出。新型コロナウイルスの感染拡大が世界的に広がっている今の時代の風潮にあった作品となっていることもあり、各部門の最高賞の中から選ばれる特別賞・西望平和賞の受賞につながった。

 このほか各部門の知事賞に「怒る波(いかるなみ)」日本画・小川衛さん、「内奥(ないおう)」洋画・中條敏宏さん、「流線彩文壺(りゅうせんさいもんつぼ)」工芸・室屋政実さん、「望(ぼう)による」書・氏原みふさん、「ミステリーゾーン」写真・水下美代子さん、「混呂波の乱(ころなのらん)」デザイン・宮城楓さんが、それぞれ決まった。

 洋画部門の新人賞に当たる特別賞「野口彌太郎賞」には波佐見高校3年の畑村百香さんが描いた「Sound scape(サウンドスケープ)」が決まった。人物の周りにある硬質なピアノなどと優しく柔らかな花の対比や構図、総合的なデッサン力の高さが評価され、将来有望な作家であると認められ賞を受けた。

 同協会の浅野類二さんは「コロナ禍を受けて昨年の県展が中止となり、年初に開催した選抜作家美術展や6月の協会展でも出品の減少が見受けられた。県展は一昨年の第64回と比べても出品数は微減で持ち直したことからコロナ禍でも展覧会に対する期待感があるのでは」と話す。

 入賞・入選作品の一般公開は9月19日~10月3日、長崎県美術館で行う。佐世保市博物館島瀬美術センター(佐世保市)や諫早市美術・歴史館(諫早市)でも作品展を行うほか、島原市と対馬市での移動展も予定する。

 長崎会場の開催時間は10時~19時。入場料(当日)は、一般=500円、70歳以上=400円、高校生=300円、小中学生無料。9月27日は休館。

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