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長崎発起業支援のピッチコンテストで障がい者就業支援目指す脇葵依さんが優勝

ピッチコンテストでグランプリを受賞した脇葵依さん

ピッチコンテストでグランプリを受賞した脇葵依さん

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 長崎発のスタートアップを目指す人材発掘や起業支援を行うプロジェクト「Nagasaki Startup Compass(ナガサキスタートアップコンパス)」のピッチコンテストが3月20日に行われ、障がい者就業支援に取り組む脇葵依さんがグランプリに輝いた。主催は長崎市とFFGベンチャービジネスパートナーズ(福岡市中央区)。

ビジネスプランを発表する脇さん

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 長崎で起業を目指す人の発掘・育成、起業家コミュニティーの醸成を目的に2022年に始まった同取り組み。ピッチコンテストは起業家の卵を育成するプログラム「コッコデショ!」の締めくくりとして行い、スタートアップ創出に向けた機運のさらなる醸成や起業に興味・関心のある潜在層へのアピール、起業家発掘につなげることを目的としている。2年目となる2022年度は同プログラムに取り組んできた5組の起業家がビジネスプランを発表した。

 脇さんは障がいを持った子どもたちが英語をコミュニケーション手段として使うことの大切さや楽しさを、オンラインを通じて体験し、ソーシャルスキルトレーニング(SST)を世界中の外国人講師と学ぶ総合学習支援を行う「ダイバーシティ学習プラットフォーム」を目指して2021年、クラウドファンディングで支援を募り、同年8月に本格的に運用を始めていた。

 民間企業や国・地方公共団体は一定以上の割合で障がい者を雇用することが義務付けられているものの、厚生労働省が発表した「令和3年 障害者雇用状況の集計結果」によると、法定雇用達成企業の割合は48.3%。脇さんは「障がい者雇用を取り巻く環境は厳しく、マッチングがうまくいっていないことや就職後のフォロー体制など課題が多い。一方で高い能力やスキルを持つ障がい者がいることも事実」と話す。障がい者が仕事をやめてしまうと再就職にも大きな壁があるという。

 「障がいを持つ子どもたちも将来、仕事に就き自立しないといけないことは気付いている」と話す脇さん。「企業が求める人材を養成して送り出し、就職後もフォローアップすることで障がい者雇用につなげるだけでなく、見えない問題となっている離職率を減らすことにもつながるのでは」と、自身が取り組む総合学習支援の次のステップとして障がい者雇用を目指す企業とのマッチングサービス「ダイバーシティラボ」の立ち上げを目指す。

 同取り組みでは現在、雇用受け入れ企業へのヒアリングを元に就労に向けて求められる要件をまとめ、総合学習支援を受ける数人の生徒を対象に試験的に導入しながら就労支援プログラムの作成を進めている。現在、4社から雇用の受け入れを前提に話を進めているほか、20社ほどから問い合わせがあることから、今後は取り組みをより本格化させ、障がい者の就業につなげていきたいという。

 「事業プランが現実的になっていくことでたくさんの子どもたちの未来が拓けていくと感じた」と話す脇さん。「誰もが生涯学び、生涯働き続けられる社会を目指して取り組んでいきたい」と意気込む。

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