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「長崎かんぼこ王国」が長大とタッグ 経済が学部生らと消費拡大目指す

講義の趣旨を説明する西村教授

講義の趣旨を説明する西村教授

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 長崎大学(長崎市片淵4)経済学部の「ビジネス実践力育成プログラム」の一環で、市内のかまぼこ製造業者が消費拡大を目指す団体「長崎かんぼこ王国」と、地域経済の活性化に向けた取り組みを始めた。

かまぼこを試食する学生ら

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 取り組みに参加するのは同学部の2年生44人。6月12日に授業を支援する3年生10人も参加して行われた1回目の講義では、団体に所属するかまぼこ店や組合から10人が同大を訪れ、業界の実情やこれまでの活動について説明した。

 「長崎かんぼこ王国」は日本一かまぼこ店の多い長崎でかまぼこの消費拡大や地域経済活性化を目指して2011(平成23)年2月22日にスタートした取り組み。前長崎市長の田上富久さんを初代「国王」に迎え、産学官連携や大手企業の地域貢献活動などと提携。ワーキンググループを構成して商品開発や販路拡大、広報などを分担して行うことで、当時60億円程度だった売り上げを倍の120億円にすることを目指していた。

 取り組みについて学生らに説明した長崎杉蒲常務の杉永幸之助さんは「長崎ではかまぼこは祝い事に欠かせない存在で食卓文化として根付いているものの、県外の人には長崎の名物としてほとんど認知されていない」と問題点を指摘。あごだしで作る「長崎おでん」や、カゴメ(東京都中央区)と共同で取り組む長崎のちゃんぽん麺やかまぼこなどを使った「ちゃポリタン」などの新商品を開発。同時に長崎電気軌道(大橋町)で長崎おでんなどを楽しめる「おでん電車」を運行。2018(平成30)年8月に「長崎揚げかんぼこ研究所」をオープンし、2019年11月には「長崎かんぼこキッチンカー」を完成させるなど、土産や外食としての販路拡大を目指してきた。

 杉永さんは「人口減少や若者の練りもの離れなど消費減少だけでなく、長崎のかまぼこ店は小規模零細事業者が多く、後継者不足も問題となっている。単独で県外への販路を増やすことが難しいことが多い」と業界が置かれている現状を説明。長崎県内でも五島や島原などかまぼこの生産な地域があることから、これらの地域と組むことで「長崎かんぼこ連邦」にしたいと野望も飛び出した。

 試食会では各かまぼこ店が持ち寄った30種類ほどのかまぼこを学生らが試食。パッケージや味など若者の目線でアンケートに回答すると同時に事業者らと意見交換なども行った。講義には「長崎かんぼこ王国」のキャラクター「竜眼王」や「ちくわ王妃」も駆けつけ、一緒に撮影を楽しむ姿も見られた。

 同プログラムでは今後、かまぼこ店の工場見学などを行い、現状と課題をまとめて7月31日に団体のメンバーも同席して発表を行う。授業を担当する同大の西村宣彦教授は「AIなどの進歩が目まぐるしい中で、これからはAIにできない『新しいことを生み出す力』がより一層求められる。後期のビジネスリサーチや3年次以降のゼミにもつなげていきたい」と意気込む。

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