長崎さくらねこの会(長崎市魚の町)が現在、野良猫の不妊去勢手術を専門に行うマネジメントスペイクリニックの開設準備を進めている。
同会代表の山野順子さんは2017(平成29)年夏、捨てられていた4匹の子猫を救うことができなかったことがきっかけで猫の愛護活動を始めた。2018(平成30)年、任意団体「長崎さくら猫の会」を立ち上げ、不妊去勢後に元の場所に戻し、餌やりやふん尿の清掃を行いながら地域猫として管理する「TNRM」活動をスタート。昨年3月には一般社団法人化し、老猫ホームとキャットホテルを併設する譲渡型保護猫シェルターの開設に向けてクラウドファンディングで支援を募り、今年2月に「咲く猫 Plus(プラス)」(香焼町)を開設。行政とも協働して飼い主がいない猫の問題に取り組み、依頼を受けて他の地域のTNRや保護して去勢後に人に慣らしたうえで譲渡する「TNTA」活動にも取り組んでいる。
これまでに600匹ほどの野良猫に不妊化を行ってきた同団体。山野さんは「野良猫は人が作り出した生き物だからこそ、外で暮らす猫をゼロにしないといけない」と話す。行政も殺処分ゼロに向けて動き出したものの、長崎県ではいまだに犬猫の殺処分数が毎年全国で最悪レベルの状況が続いている。一方で感染症など衛生面の問題などから野良猫に対応できる動物病院が少なく、救いを待つ猫の数が救う人の数よりはるかに多いという現状があることから、「避妊去勢手術の専門病院が早急に必要」と開設に向けて動き出した山野さん。「処分されているのは9割が乳飲み子や子猫たちで負のスパイラルから抜け出すことができないままになっている。現状を変えるには不幸な命の蛇口を締めるしかない」と訴える。
スペイクリニックは「咲く猫 Plus」がある香焼町に開設し、獣医と提携して運営する予定。クラウドファンディングでは開設に必要な600万円を目標に協力を呼びかける。山野さんは「長崎の猫の生き方が変わり、人と地域猫が共に生きていけるまちづくりができるよう取り組んでいきたい」と意気込む。
クラウドファンディングは8月17日まで。