フィンランドのデザイン企業「イッタラ(iittala)」をテーマにした展覧会「イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき」が7月1日、長崎県美術館(長崎市出島町)で始まる。
イッタラは1881年、フィンランド南部のイッタラ村にあるガラス工場で始まった。伝統の職人技を継承しつつ、さまざまな工場やメーカー企業の合併や統合で幅広いインテリアプロダクトの製造を手がけ、フィンランド人のライフスタイルを世界に紹介。フィンランドの創造性やデザイン、生活価値の体現として親しまれてきた。
日本初のイッタラ大規模巡回展となる同展は、世界最大のイッタラコレクションを誇るフィンランド・デザイン・ミュージアムが企画。同館所蔵作品を中心にイッタラのアーカイブ作品などを加えた約450点を展示して、イッタラの技術と哲学、デザインの美学に迫るという。
入り口をくぐるとイッタラ140年の歴史をひもとくコーナーやフィンランドデザインを育むプラットフォームとなってきたイッタラで活躍してきたアイノ・アアルトやアルヴァ・アアルトら8人のデザイナーの作品約30点を紹介するコーナーを用意。
「イッタラを読み解く13の視点」をテーマにしたコーナーではガラスの製法や加工道具などを作品とともに紹介。同じデザインの作品でも木型とスチール型で作品の表情が異なる様子やフィンランド・デザインのインスピレーションの源であり続けているフィンランドの自然などを紹介。タピオ・ビルカラやティモ・サルパネヴァの作品の多くが氷の表現を出発点としていることにも触れ、エピソードとともに作品を紹介している。
イッタラと日本の関係は古く、1950年代からデザイナーのカイ・フランクが度々来日して日本の工芸やデザインに触れていたことから、影響を受け折り紙をモチーフにした作品などを展示。イッタラは21世紀になってからは国際的なコラボレーションを積極的に進め、「イッセイ ミヤケ」や「ミナ ペルホネン」、建築家・隈研吾さんとも協働した作品を送り出していることから、展示ではデザイナーを通じてイッタラと日本のつながりを垣間見ることができる。
1972(昭和47)年からこれまでに約500種類を生み出してきた鳥をモチーフにした吹きガラスオブジェ「バード バイ トイッカ」も30種類ほどを展示している。
特設ショップでは同展覧会のオリジナルグッズや図録など約120アイテムが並ぶ。
展覧会を前に行われた内覧会では同館学芸員が展示について解説を行い、「美しさやシンプルさ、サスティナビリティー、自然との関わりといったフィンランドのデザインの世界で大切にされてきた価値観を具体的に教えてくれる作品ばかり。解説文と併せて楽しんでもらえれば」と来館を呼びかける。
開催時間は10時~20時。観覧料は、大人=1,300円、大学生・70歳以上=1,100円、高校生以下無料。7月10日・24日と8月28日は休館。7月29日と8月12日の14時30分から学芸員によるギャラリートークも予定。参加無料・要入場券。9月3日まで。