見る・遊ぶ 暮らす・働く

長崎・高浜で200年続く奉納相撲 「高浜八幡神社秋季大祭」5年ぶり開催

来場を呼びかける馬場会長(中央左)と松尾さん(中央右)ら

来場を呼びかける馬場会長(中央左)と松尾さん(中央右)ら

  • 25

  •  

 五穀豊穣と家内安全を願う奉納相撲が行われる高浜八幡神社秋季大祭が9月23日、高浜八幡神社(長崎市高浜町)で開催される。

弓取り式の稽古の様子

[広告]

 創建300年以上の歴史があるといわれ、地区の氏神を祭る高浜八幡神社の秋祭りの行事の一つとして毎年9月、相撲が行われてきた。相撲は江戸後期に「小湊」という力士によって勧進相撲発祥の地・大阪から伝えられたもので、神事三十三番奉納相撲は地元の子どもたちが33番勝負で五穀豊穣と家内安全、疫病退散を願う神事として行われてきた。

 その後、町の男衆が力士に扮(ふん)して相撲で真剣勝負する相撲行事を行う。相撲行事では選ばれた力自慢の男だけが土俵に上がり、同地区の男の晴れ舞台としてにぎわってきた。同地区では相撲行事を受け継ぐ男たちに古くからしこ名と化粧まわしを贈る習わしも残る。現在は高浜相撲協会を中心に行事を守り、受け継いでいるという。

 当日は御神体を神社に迎え入れる「お下り」が行われ、相撲のほか甚句に合わせた相撲踊りや口伝えで受け継がれる三拍子を披露。その年に生まれた赤ちゃんを祝福する「赤ちゃんの土俵入り(泣き相撲)」を行う。

 同協会の馬場広徳会長は30代半ばで「濱錦」のしこ名を贈られ、しこ名と化粧まわしを持つ数少ないメンバーの一人。馬場会長によると、「祭りは地元では『25日』とも呼ばれ、この日だけは仕事を休んで町じゅうの人が相撲見物に集まっていた」と振り返る。かつては小学生が66人集まって行っていた相撲神事だが、「少子化で子どもが少なくなった現在では中学生も参加し、取り組みの数を減らすなど工夫しながら伝統を守っている」と話す。

 コロナ禍で2019年以降開催できなかったことから5年ぶりの開催となる今年。同協会では9月10日に神社横にある土俵を覆うカバーを外し、縁起物を納めて安全祈願する「土俵起こし」を行った。その後、弓取り式や取り組みの稽古が行われた。20歳のころから相撲を取ってきたという「越乃若」こと松尾裕司さんは「200年以上にわたって受け継がれてきた行事に先輩たちに名を連ねて参加しているという気持ちがある」と話す。

 馬場会長は「赤ちゃんの土俵入りは1歳未満なら誰でも受け入れている。ぜひ高浜地区の伝統行事を見に来てもらえれば」と来場を呼びかける。

 開催時間は11時~。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース