長崎県内最大の公募展「第68回長崎県美術展覧会(県展)」が9月17日、長崎県美術館(長崎市出島町)で始まる。主催は長崎県美術協会。
日本画と洋画でダブル部門最高賞を受けた森さんの「咆哮(ほうこう)」(右)と野口彌太郎賞に輝いた畑田さんの「I am」
8月上旬に募集し、「日本画」「洋画」「彫刻」「工芸」「書」「写真」「デザイン」の7部門に今年は1235人から1364作品の出品があった。受賞者・入賞者が9月16日に発表され、阿部礼三さん(長崎市)の写真作品「古都の風」が最高賞となる西望平和賞に選ばれた。
毎年多くの作品が出品される写真部門。作品は阿部さんが父の遺骨を京都・知恩院に納め、父の好きだった京都の町を妻と散策しながら三十三間堂で撮影したもの。「写真作品の王道とも言えるモノクロで、計算され尽くしたシンプルな構図の中央に配置された人物の風になびく布地が爽やかなリリシズムを醸し品格ある作品に仕上げたアート性の高い秀作」と評価されたことから、各部門の最高賞の中から選ばれる特別賞・西望平和賞の受賞につながった。
各部門の最高賞となる知事賞で「太田尾のアコウ」(日本画)と「咆哮(ほうこう)」(洋画)で森英一郎さんが県展史上初のダブル受賞を果たした。このほか、「Grace」彫刻・松尾弘子さん、「線紋花器」工芸・笠原敦さん、「夜明」書・奥村真実子さん、「さいごの灯火」デザイン・馬場優亜さんが、それぞれ決まった。洋画部門の新人賞に当たる特別賞「野口彌太郎賞」には畑田麗二さんが描いた「I am」が決まった。
運営実行委員長の江副景舟さんは「コロナ明けであることに加え、再来年に控える『ながさきピース文化祭2025』は県展も第70回を迎えるタイミングであることから、人材育成により力を入れていることもあり、応募者の増加につながったのでは」と話す。今年の応募作品については、「日本画と洋画で知事賞ダブル受賞者が現れたことは快挙と言っていい。2部門で最高賞を受けるのはデザイン力の高さだけでなく相当な努力があったのでは。応募者のほとんどがプロか高校生のデザイン部門でも高校生が最高賞に輝いたほか、洋画新人賞も普通科の高校生が受けていることも注目に値する」と若手の活躍に期待を込める。
入賞・入選作品の一般公開は佐世保市博物館島瀬美術センター(佐世保市)や諫早市美術・歴史館(諫早市)でも行うほか、新上五島町と松浦市での移動展も予定する。
開館時間は10時~18時(最終日は16時閉館)。入場料(当日)は、一般=500円、70歳以上=400円、高校生=200円、小中学生無料。9月25日は休館。10月1日まで。