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長崎・日見中で「平和を考える日」 灯火行事や「キッズゲルニカ」制作

「キッズゲルニカ」を制作する生徒たち

「キッズゲルニカ」を制作する生徒たち

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 平和教育ワークショップ「平和を考える日」が9月15日、日見中学校(長崎市界2)で行われた。

「キッズゲルニカ」を制作する生徒たち

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 8月9日の原爆の日に合わせて開催を予定していたが、台風で延期となっていた同イベント。「原爆投下78年の長崎から被爆体験の継承から平和の発信・創造へと向けた気持ちを醸成したい」と時津町でフリースクールなどを運営するNPO法人「conpeito(コンペイトウ)」(時津町浦郷)が企画した。

 この日は、同校生徒会が中心となり、全校生徒約150人が参加。会場では、平和祈念集会、「キッズゲルニカ」制作、「平和の灯」キャンドル製作と点灯、バルーンリリースなどを行った。

 「キッズゲルニカ」は世界的画家・ピカソの代表作「ゲルニカ」にちなんで同作と同じ縦3.5メートル、横7.8メートルのキャンバスに子どもたちが平和へのメッセージを描く国際的な取り組み。同校では、長崎でキッズゲルニカ活動を続けてきた山下昭子さんの協力で作品を制作した。

 体育館には、山下さんや「キッズゲルニカ広島」代表の遠藤克彦さんらが制作に携わった7枚の作品も並んだ。作品の中には2011(平成23)年に同校で制作した物もあり、卒業生代表として訪れた東山手「地球館」の青栁智子館長が山下さんと当時を懐かしむ一幕もあった。

 同校敷地内には、原爆で亡くなった娘や一緒になくなった子どもたちをしのび、爆心地から500メートルほどの場所にある城山小学校(城山町)に植えられた「嘉代子桜」の2世が植樹されていることから、生徒たちは嘉代子桜をテーマにした「キッズゲルニカ」作品を制作した。生徒たちはピンク色の絵の具で手形を押して桜の花びらを表現。手形には平和へのメッセージを書き込んだ。

 制作には、ウクライナから長崎大学に留学しているセラフィマさん、鈴木史朗長崎市長、橋田慶信長崎市教育長も参加。鈴木市長は自身の手形に「Peace from Nagasaki」と平和へのメッセージを書き込んでいた。

 同日、各家庭から持ち寄った牛乳パックを使って固めたろうに、平和への願いを書き込んで仕上げるキャンドル製作も行った。

 昼休みをはさんで体育館では平和祈念集会が行われ、原爆犠牲者に黙とうをささげた。その後、グラウンドに移動して同校の校章の形に整列した生徒たちは校歌を歌い、平和を願うメッセージカードを添えたバルーンを大空に放った。

 17時過ぎに再びグラウンドに集まった生徒たちは、朝に製作したキャンドルを校章の形に並べて火をともし、平和を願った。

 大屋茂正教頭は「生徒が自ら行動して平和を考えるきっかけになるイベントになったのでは」と話す。「コンペイトウ」代表理事の牛津理美さんは「『自分で考えて参加すること』にこだわりイベントをプロデュースさせてもらった。被爆地としての悲しい歴史を受け継ぐだけでなく、広く世界に目を向けて戦争がいまだにあることを感じ、平和について今一度考えてもらえれば」と話す。

 この日制作した「キッズゲルニカ」は東京のスペイン大使館に送り、10月開催の「ゲルニカ展」で展示を行う。その後、スペインやフランスなどでも展示する予定という。

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