6000個の竹灯籠が稲刈りを終えた山あいの棚田を彩る「大中尾棚田火祭り」が10月28日、開催される。主催は大中尾棚田保全組合。
産業振興や移住開拓などに奉仕したフランス人宣教師ド・ロ神父に関する多くの史跡が残る外海・神浦川沿いにある同地区は、農林水産省が1999(平成11)年に「日本の棚田100選」の一つに認定。開墾から270年ほどたつといい、約4.2キロに及ぶ大井手水路とともに受け継がれてきた。
同組合は大井手水路保全組合を母体に2002(平成14)年に設立。長崎県で初めてとなる「棚田オーナー制度」を導入して地域外の力を借りる稲作に転換し、都市住民との交流を深めながら耕作の維持と景観の保全を目指してきた。
棚田を広くPRしようと収穫祭を兼ねて毎年10月下旬に開催してきた同イベント。コロナ禍で3年開催できなかった。
4年ぶりの通常開催となる今年のイベント。当日は棚田米の重量当て(300円)やゲームなどを行うほか、14時20分から餅つき体験を行う。イノシシ肉の焼き肉体験(500円)なども用意。17時から竹灯籠に点火する「火入れ」を行い、角力(すもう)灘を望む夕暮れから夜の棚田を幻想的に彩る風景を楽しむことができる。
同組合の尾崎正博会長は「『棚田のともしびを守っていきたい』と竹灯籠だけは毎年地元住民だけで続けてきた。ようやくコロナ前と同じように開催できる。ぜひ多くの人に訪れてもらえれば」と呼びかける。
当日午後から、麓の神浦川河川公園(長崎市神浦向町)の駐車場と会場を結ぶシャトルバスを運行。棚田周辺は道が狭く駐車場もほとんどないことから、バス利用を呼びかける。