VRやインタラクティブなデジタル技術を駆使した映像が楽しめる日本初の「立体シアター」が3月7日、軍艦島デジタルミュージアム(長崎市松が枝町)にオープンした。
「明治日本の産業革命遺産」として2015(平成27)年7月に世界文化遺産に登録された端島炭鉱(軍艦島)を最新のデジタル技術で体験できる博物館として、同年9月17日にオープンした同施設。VR(バーチャル・リアリティー)など最新技術を使い、軍艦島を3Dモデルで構築した「軍艦島3D散歩」や、立ち入り禁止区域を体感できる「軍艦島VR」など軍艦島を体験できるコンテンツを展開。1916(大正5)年に完成し、老朽化による崩落が続き保存が難しいとされている国内最古鉄筋コンクリート(RC)造アパート「30号棟」や当時の島の暮らしを紹介する展示なども行う。
同施設4階に新たに設けた「立体シアター」は、幅6.4メートル、奥行き5メートル、高さ2.4メートルの空間5面にタッチパネルを搭載した4KのLEDパネル約2000枚を設置。軍艦島のドローン映像や当時の島の暮らしを体感できるコンテンツを上映する。島の暮らしの様子は1918(大正7)年に最初の部分が完成し、当時国内最高層のアパートだった「日給住宅」に暮らす少女・みちこちゃんが登場し、軍艦島が炭鉱の島として栄えた当初は本土から給水船で運んでいたことから水が貴重だったことや、1957(昭和32)年に海底水道が開通したことなどを紹介している。
軍艦島が、2015(平成27)年に公開された実写版「進撃の巨人」でロケ地となっていることから、同作の特別バージョンも上映する。
同日行われたオープニングセレモニーであいさつしたプロデューサーの久遠裕子さんは「一年がかりでようやくお披露目することができた。この技術を駆使して、さまざまな体験コンテンツを提供していきたい」と意気込む。設計からコンテンツ制作まで一貫して担当する「ドリロボ」(東京都八王子市)の永澤文昭社長は「最新のVR技術にインタラクティブな機能を組み合わせて、没入感のある体験を目指した。ゴーグルなしでも楽しめるので、一緒にいる人みんなで体験を共有できるこれまでにないコンテンツになったのでは」と胸を張る。
セレモニーに出席した鈴木史朗長崎市長は「臨場感があり、当時の軍艦島にいるよう」と笑顔を見せ、元島民の中村陽一さんも「これは最高」と感想を話した。
施設を運営するユニバーサルワーカーズ広報の佐藤義太郎さんは「運行している軍艦島クルーズでは天候が悪いと上陸できなかったり、出港できなかったりすることもある。クルーズを楽しんだ人だけでなく、楽しみにしていたのに軍艦島に行くことができなかった観光客にも利用してもらっている。今後、コンテンツをさらに拡充し、より多くの方に軍艦島を体験してもらえる施設にしていきたい」と意気込む。
入館料は、大人=1,800円、中高生=1,300円、小学生=800円、幼児=500円、3歳未満無料。県民は半額で入館できる。