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長崎・野々串漁港でイカ芝作り 地域の子どもたちが漁師の仕事を体験

イカ芝を海に設置する様子

イカ芝を海に設置する様子

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 アオリイカの産卵礁となるイカ芝作り体験が3月16日、野々串漁港(長崎市高浜町)で行われた。主催は市民団体「team長崎シー・クリーン」。

地元の小学生から高校生まで6人が参加した

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 アオリイカは長崎では水イカと呼ばれ、旬を迎える春と秋に長崎各地で定置網や釣りで漁獲される。野母崎は長崎有数の漁場として水揚げの多いエリアとして知られる。アオリイカは春に産卵期を迎え、浅場の海藻に卵を産みつける習性があるが、野母崎近海では近年、磯焼けの被害が目立ち、漁獲量が減少してきた。

 「漁場を少しでも回復させよう」と同港を拠点に軍艦島(端島)周辺などで漁を行う馬場広徳さんは毎年3月から夏前にかけてイカ芝を設置してきた。野母崎で海岸清掃活動を行う同団体に所属する馬場さん。活動に参加する子どもたちがごみ拾いだけでなく、生き物に触れる体験に関心があることを知った。地元の漁師と子どもたちが触れ合う機会も少ないことから、「イカ芝作りを通して漁師が取り組む環境保全への取り組みを知ってもらおう」と体験会を企画。団体を通じて参加を呼びかけた。

 当日は地元の小学生から高校生まで6人が参加。野々串漁港に集合した子どもたちはまず近くの海岸に向かい、スコップや鍬(くわ)を手にイカ芝を沈めるためのおもりとなる土のうを作った。次に近くの山から木の枝を切り出して港に運んだ。港では馬場さんらが木の枝をロープで束ね、イカ芝に仕上げた。出来上がったイカ芝を全員で船に積み込み、漁場へと向かった。

 この日、イカ芝を設置したのは景勝地として知られる夫婦(めおと)岩(以下宿町)の沖合。ポイントの上に船を着け、子どもたちも手伝いながら木の枝を海に浮かべる馬場さん。ロープの先端に回収の目印となるブイを取り付け、土のうを海中に投げ入れるとイカ芝が勢いよく海底へと沈んでいった。その後、船を移動させながらから高浜海水浴場の沖合にかけての3カ所にイカ芝を投入。春風が心地よく、海も凪(なぎ)だったことから子どもたちはクルージングを楽しみながら体験した。

 馬場さんは「磯焼けの原因は不明だが、アイゴやイスズミといった藻場を食い荒らす魚も近年増えてきている。環境や漁場を守るための漁師の取り組みを知ってもらうと同時に子どもたちに漁師の仕事に関心を持ってもらうきっかけになれば」と期待を込める。

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