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ユナイテッド・シネマ長崎で「オッペンハイマー」公開記念トークイベント

トークイベントに登壇した高田明さん(右)と朝長万左男さん

トークイベントに登壇した高田明さん(右)と朝長万左男さん

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 映画「オッペンハイマー」の公開を記念するトークイベントが4月14日、ユナイテッド・シネマ長崎(長崎市尾上町)で行われた。

トークイベントの様子

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 世界初の原子爆弾を開発し、「原爆の父」として知られる理論物理学者ロバート・オッペンハイマーの生涯をクリストファー・ノーラン監督が描いた同作。オッペンハイマーは第二次世界大戦中にロスアラモス国立研究所の初代所長を務め、原子爆弾の開発・製造を目指すマンハッタン計画を主導。1945(昭和20)年に世界初の原爆を開発し、ニューメキシコ州で核実験を行い、同年8月6日に広島、9日に長崎に投下された原爆の製造も手がけた。

 オッペンハイマーは「原爆投下は戦争終結を早め、多くの米兵の命を救った英雄」として称賛される一方、降伏間近だった日本への原爆投下によって多くの犠牲者が出た事実を知り、深く苦悩。戦後はさらなる威力を持つ水爆の禁止活動やソ連との核兵器競争を防ぐために動いていたことからスパイ疑惑をかけられ苦悩の生涯を歩んだ。

 昨年7月21日にアメリカで公開され、今年3月10日に行われた第96回アカデミー賞では13部門にノミネート、7部門で受賞した。日本では3月29日に公開され、同館を含む全国343館で上映されている。

 トークイベントには長崎県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長と通信販売会社ジャパネットたかた(佐世保市)創業者の高田明さんが登壇。朝長さんは2歳のときに長崎駅近くの自宅で被爆。被爆者の白血病の治療に当たっていた父・正允さんの影響もあり、医師を志すとともに平和活動にも尽力してきた。高田さんは地元プロサッカーチーム「ヴィファーレン長崎」の社長時代には広島戦に合わせて平和マッチを開催するなど、サッカーを通じて平和の大切さを発信してきた経験がある。

 映画を見て、「アメリカでこのような映画が作られたのが驚き。世界平和につながってほしい」と感想を話す高田さん。被爆者としてアメリカを訪れることもあるという朝長さんは「核兵器廃絶に向けたアメリカの役割の重要性を説くと、最近では現地の若者から共感を得られるなど対話が成り立つようになってきた」と変化を感じていることを明らかにした。

 高田さんは朝長さんの活動にも触れ、「平和活動を続けても平和が来ないという意見もある一方、戦後78年間発信してきた方がいるからこそ風化して誰も言わなくなるからこそ続けてきていることが大切」と訴えると朝長さんは「核廃絶は実現できるという意見とできないという意見の間で常に心が揺れ動いている」と話した。

 質疑応答では、平和活動に取り組む高校生から「平和へのを伝えるためにどんなことができるか」という質問に、朝長さんは「アメリカでこの映画が上映されたことで多くの声が上がっていると聞く。被爆体験の継承も大切だが、あなた自身がどう思っているのか伝えることも必要になってくる」と話した。高田さんは「微力だけど無力じゃない」という高校生平和大使の言葉を取り上げ、「足りないことを常に考えながら、今学んでいることを広く深く学ぶことで輪を広げて行くことが大事。行動したら変化が起こる」とエールを送った。

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